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鈴木保奈美、知事役でコメディー舞台初主演「なるべくフレッシュな、おいしい“お刺身”をご提供したい」【インタビュー】

エンタメOVO 2024年7月4日 8時0分

 鈴木保奈美が女性知事役でスキャンダルの火消しに奔走するコメディー、舞台「逃奔政走(とうほんせいそう)‐嘘つきは政治家のはじまり?‐」が7月5日から開幕する。本作は、主人公である人気女性知事とその側近たちが無茶苦茶な案やどうかしている屁理屈、時にダーティーな手段も使っていかに問題を切り抜けていくかをスリリングに、スピード感あふれるコメディーとして描く。脚本・演出は冨坂友氏が務める。本作がコメディー初主演となる鈴木に本作への意気込みや舞台出演への思いを聞いた。

-現在、鋭意お稽古中かと思いますが、手応えはいかがですか。

 演出家もキャストも、みんなで意見を出し合って、ダイナミックに進んでいると思います。舞台装置やキャストの動きがどうすればスムーズになるのか、意見を出し合っています。自由に討論させていただいています。

-鈴木さんは以前から、アガリスクエンターテイメントの冨坂さんの舞台に一緒に立ちたいと願っていたと聞いています。舞台でのタッグは今回が初となりますが、実際に冨坂さんの演出を受けて、どのように感じていますか。

 とても柔軟な方だなと思います。これまでもアガリスクエンターテイメントで、みんなで作っていくという作り方をされてきたと思うので、その空気を存分に味わわせていただいています。冨坂さんが描かれたものやこれまでに考えていらっしゃったことに対して、「違う方法もあるかも」とみんなで自由に意見を出し、それに対して冨坂さんがこちらの意見を尊重して、即座に変更をしてくださる時もあるし、誰が何と言っても「僕はこっちがいいと思います」と貫く強いものも持っていらっしゃる時もある。私たちはそれを聞いて、ここは絶対に変えたくないんだと理解もできます。ディスカッションを通して分かることも多いので、それをくみ取りながら進めているところです。

-脚本を最初に読んで、この作品の面白さをどんなところに感じていますか。

 それぞれがそれぞれの主張を通すためにそれぞれの理屈でバトルする。そこに面白さを感じます。それは、冨坂さんらしさ、アガリスクらしさでもあると思います。

-鈴木さんが今作で演じる小川すみれという人物については、今はどのようにとらえていますか。

 魑魅魍魎のような、ものすごく強力な登場人物の中で1番、普通の人です。

県知事という役どころですが、今回はどのように役作りをされましたか。

 知事という職業的なところはある程度は理解しなくてはいけないと思い、そこは勉強しました。ただ、自分で何かを作ろうとするよりは冨坂さんが書いた脚本の世界の中にドボっと入って、そのまま演じればいいのかなと思っています。

-共演者の方々の印象も聞かせてください。まず、ライバルの政治家役を務める寺西拓人さんは?

 面白い人ですよ。みんなにかわいがられています。寺西さんの出番がないシーンをみんなで集中して演じているときに、急に大きな音を立てたり、意外と空気を読まない変な行動をしていたりします(笑)。そういうところも含めて、みんなから愛らしいと思われていると思います。

副知事を演じる相島一之さんはいかがですか。

 相島さんは真面目で、楽しくて、みんなを優しく引っ張ってくださる方です。(劇中では)何か問題が起きると、私と相島さん、中田(顕史郎)さん伊藤(圭太)さんの4人組で「どうしましょう、こうしましょう」とこちょこちょやっているので、稽古場でも4人で助け合いながら稽古をしています。

-大物政治家役の佐藤B作さんとは初共演と聞いています。

 そうですね。B作さんはお稽古に合流なさったばかりなので、まだこれからではありますが、初日に一言発せられただけでお稽古場の雰囲気が変わってピリッとしたので、本当に来てくださってよかったなと感じました。

鈴木さんは、近年、ドラマや映画などの映像作品のみならず、舞台作品にも積極的にご出演されている印象があります。舞台作品に出演することの面白さをどんなところに感じていますか。

 約1カ月、毎日同じ場所に通って、チームで作っていけるというところです。なかなか映像では1回立ち止まってみんなで悩んで、「どうする?」と話し合う時間が取れないことが多いと思います。それに、(スピーディーに進めるために)演出家や監督、プロデューサーなどの作品を引っ張っていく人が決定権を握っていることが比較的多いので、(舞台では)みんなでどうしようと考える時間を持てるということ自体が面白いのかなと思います。

-では、舞台でお芝居をすることで、お客さんにどんなことが伝わればいいなと考えていますか。

 画面を通したものではなく、“生”だということを伝えられると思います。お芝居に限らず、例えばコンサートや落語などでもそうですが、私自身も毎回、「実際に目の前で話しているんだ。実際の声を聞いているんだ。生で演奏されている音を聞いているんだ」ということを感じますし、この時間が過ぎ去ってしまったら全く同じものは2度とないんだという感動のようなものがあります。ですが、それほど難しく考えなくていいと私は思うんです。「あの人、意外と小さいんだ」とか、「テレビで見ていたあの俳優さんは、背が高いんだ」とか「テレビと違うね」でいいと思うんですよ。「実際に舞台で見た後に、テレビで見たらイメージが変わったな」でもいいです。そうしたことだけでも、何かが広がるような感じがしませんか? 知識といったら大げさですが、何か小さなことでも感じていただけたらと思います。

-改めて、公演に向けての意気込みや読者にメッセージをお願いします。

 生ものなので、私も今はまだどうなるか分かりませんが、なるべくフレッシュな、おいしい“お刺身”をご提供したいと思っております。

(取材・文・写真/嶋田真己)

 舞台「逃奔政走(とうほんせいそう)‐嘘つきは政治家のはじまり?‐」は、7月5日~16日に都内・三越劇場、7月20日~21日に京都劇場で上演。


舞台「逃奔政走(とうほんせいそう)‐嘘つきは政治家のはじまり?‐」

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