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八村倫太郎「俊さんに助けられました」、栁俊太郎「初主演とは思えない気遣いに感謝」 大ヒットWEBコミック原作のサスペンスホラーで初共演『他人は地獄だ』【インタビュー】

エンタメOVO 2024年11月15日 22時42分

 韓国発の大ヒットWEBコミックを日本で映画化したサスペンスホラー『他人は地獄だ』が、11月15日から公開された。

 地方から上京した青年ユウが暮らし始めたシェアハウス「方舟」。そこで出会ったのは、言葉遣いは丁寧だが、得体のしれない青年キリシマをはじめ、一癖ある入居者たちだった。やがてユウの中に、彼らが新たな入居者たちを殺害しているのではないかという疑惑が芽生え始め…。

 主人公のユウを演じるのは、ダンス&ボーカルユニット“WATWING”で活躍し、これが映画初主演となる八村倫太郎。ユウを恐怖のどん底に突き落とすキリシマ役には、『ゴールデンカムイ』(24)などでも多彩な演技を見せる栁俊太郎。初共演となる2人が、公開を前に撮影の舞台裏を語ってくれた。

-緊張感とスリル満点の作品で、最後まで目が離せませんでした。お二人がオファーを受けたときのお気持ちをお聞かせください。

八村 原作は大学時代に話題だったので読んだことがありますが、僕はホラーが苦手なので、途中で挫折していたんです(苦笑)。だから、今回お話をいただいて驚くと同時に、自分にできるのか、不安でいっぱいでした。でも、台本を読んでみたら、すごく面白かったので、「ぜひやりたい!」と。

 僕は韓国のテレビドラマ版(2019年「他人は地獄だ」)を見たことがあるので、今回のお話をいただいたとき、長い物語をどうやって1本の映画にするのか、気になっていたんです。でも、台本を読んでみたら、衝撃のラストまで、非常にうまくまとまっていて。おかげで、ホラーの得意な日本の強みを生かした作品になるのでは…と期待が高まりました。

-お二人のお芝居も印象的でしたが、役作りについて教えてください。

八村 監督にも相談してみたところ、ユウは観客に最も近い存在なので、ホラーが不得手な僕自身のままの方が、怖いものをより怖いと思えるし、新鮮に感じられるので、いいんじゃないかということになって。だから、僕自身の感じたことを、素直にお芝居に出していこうと思っていました。

 逆に僕は、ユウを怖がらせるには、見た目や口調、動きなどをどうすればいいのか、いろいろと考えました。最終的には、一目でキリシマの不気味さを感じてもらえるように、外見から違和感を出そうと、原作を意識して目元などを作りました。

八村 俊さん(=栁)ご自身のミステリアスな雰囲気が役にマッチして、台本からイメージした通りのキリシマだったので、本当に怖かったです(笑)。おかげで、ユウとしてしっかりリアクションすることができました。そういう意味では、俊さんにすごく助けられました。

 でも僕も、ユウのリアクションがあったから、その後の芝居ができたと思ってます。ただ逆に、キリシマはそこに左右されてはいけない場面が結構ありました。実際、僕も「もっと行きたい!」と芝居に対する自分の欲が出過ぎてしまったことが何度かありました。でも、それだとキリシマではないので、監督に「抑えて」と言われて。それは、勉強になりました。

-シェアハウスのキッチンで、ユウとキリシマが焼き肉を食べるシーンは、不穏な空気にあふれていて、見ている側にもキリシマの気味悪さが伝わってきました。

八村 あそこは、キリシマの不気味さを初めて心の底から実感するシーンだったので、観客の皆さんと同じ視点で、キリシマの振る舞いやたたずまいに、自然なリアクションをすることを心掛けました。

 しかも、「実は人肉では…?」というインパクト絶大なシーンで、この映画の怖さを凝縮したようなシーンだったので、どう怖がらせればいいのか、一番考えたかもしれないです。

八村 実はあの日、俊さんと「撮影が終わったら、食事に行こう」と話していたんですよね。結局、そんな気味の悪いシーンの後に食事に行くことになって(笑)。でも、そういう機会は初めてだったので、うれしかったです。

 翌日の撮影のことを考えて早めに切り上げたけど、楽しかったよね。



-お2人は今回初共演となりますが、現場での様子はいかがでしたか。

八村 「シェアハウス対ユウ」という構図がある中で、共演者の方々とどういう距離感で接すればいいのか、だいぶ悩みました。でも僕は、役のために距離を取ったりすることが苦手なんです。憧れていた俊さんとご一緒できるうれしさもありましたし、他の皆さんも気さくで温かい方が多かったので、結局気にせず、自分から皆さんに話しかけていきました。

 みんなのことを考えて、空気を作ってくれているんだろうなと思いました。初対面の本読みの時から、明るく素直な人だと思っていたけど、初主演でそういう気遣いはなかなかできることじゃないと思います。おかげで僕らも、現場を楽しく過ごせてみんなと仲良くなれたから、感謝しています。

八村 でも僕も、わからないことは教えてもらおうと思っていたんです。だから、いろいろと質問したんですけど、俊さんは優しく答えてくださって。おかげで、すごくやりやすかったです。ありがとうございました!

 恐縮です(笑)。でも、僕はそんな大層なことはしてないよ。むしろ今、「悩んだ」という話を聞いて、驚いたほどで。それくらい、覚悟を決めてやっていると感じていたから。

-この作品を通して、ご自身にとって収穫になったことがあれば教えてください。

八村 衝撃的な出来事を目にするシーンも多かったんですけど、そういうときの芝居は想像するしかないので、どうすればいいのか、かなり悩みました。でも、本気で「怖い」「痛い」と思い込むことで、実際に体が震えてきたり、痛みを感じたりすることが、この現場で実感できた気がします。僕のリアクションによって“ことの重大さ”が観客に伝わるので、想像するのは難しかったですけど、監督から「OK」をいただくたびに、自分が一つずつ成長できたような気がします。

 ホラー的な怖がらせ方をするお芝居は初めてだったので、勉強になりました。僕は「もっと動いて」、「もっと表情に出して」と言われることが多く、「あまり出さないで」と言われたのは初めてだったので、自分の「欲」みたいなものが、芝居に出てしまうこともあるんだなと。それが分かったことは、自分にとって発見でした。

-それでは最後に、完成した映画をご覧になった感想をお聞かせください。

八村 見る前は不安と期待が入り混じっていたんですけど、いざ始まったら、ぐっと引き込まれてしまいました。だから、皆さんの感想が楽しみです。

 自分がかかわっていない作品として、フラットな目線で見たかったくらい、衝撃的でした。皆さんも、休日に友だちを誘って映画に行くようなノリで気軽にご覧いただき、ぜひ僕と同じ衝撃を味わってみてください。

(取材・文・写真/井上健一)


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