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山本千尋「今回は、アクションよりもお芝居の方を意識しました」『アンダーニンジャ』【インタビュー】

エンタメOVO 2025年1月27日 10時38分

 現代社会に潜む忍者たちの姿を描いた花沢健吾の人気コミックを福田雄一監督が実写映画化した『アンダーニンジャ』が、1月24日から全国公開された。本作で講談高校のマドンナ的存在で周りを翻弄(ほんろう)する“あざとい女子”山田美月を演じた山本千尋に話を聞いた。

-今回のオファーが来たときの気持ちは?

 びっくりしました。福田(雄一)監督だと聞いたので。花沢(健吾)先生のシュールな笑いはありつつ、結構攻めた内容の戦いを福田さんで撮るということは、すごく挑戦的で楽しみなことだと思いましたし、山田美月を演じると聞いて、彼女のキャラクターもすごく個性的で、今まで演じたことのない役柄だったのでとても楽しみでした。

-最初に脚本を読んだ印象は?

 あれだけ長い漫画やアニメの重要な部分をぎゅっと詰めて、映画としてきれいにまとめていたのがすごかったですし、漫画やアニメとは違うオリジナルの部分もとても好きでした。

-実際に山田美月を演じてみていかがでしたか。

 楽しかったです。あれだけぶりっ子な役柄も初めてでしたし、制服を着る機会も今まではなかなかなかったので、不安な部分はなく、楽しもうという気持ちで臨めました。

-演じる上で何か気を付けたことはありましたか。

 福田組は初めてだったのですが、「福田組はめちゃくちゃ楽しいよ」と周りの方たちから聞いていたので、とにかく現場に行って、その場の空気に身を委ねようという思いでした。

-原作を読み、アニメも見ていたので、自分の中で山田美月のイメージがあったと思いますが、今回演じる上で彼女のキャラクターをどう捉えましたか。

 実はいろんな顔を持っている女の子だと思っていました。アンダーニンジャのキャラクターがみんなそうなんですけど、正確なプロフィールを追求しようにもできないキャラクターだからこそ、自分の観点で捉えたものを出してみてもいいのかなと思いましたが、福田監督が描くワールドみたいなのもあったので、皆さんの力を借りながらという感じでした。

-“あざと女子”のしゃべり方が、すごく印象的でした。

 ありがとうございます。「アンダーニンジャ」は漫画ではなくアニメから見たという方もいらっしゃると思うので、漫画だけではなくアニメを好きな方も極力裏切らない形ではいたいなと思っていました。それに、福田組だから、多少オーバーにしてもいいのかなと思いつつ、自分なりに演じてみました。

-以前、三谷幸喜さんの「誰かが、見ている」(20)というドラマでコメディーを演じていましたが、今回も鼻くそをほじったりするコミカルなシーンがありましたね。

 実はコメディーが大好きなのですが、何かを背負うような役が多いので、コメディーをやらせてもらえる時はすごく楽しいです。「誰かが、見ている」で初めてコメディーをやらせてもらってから、コメディーをする機会がないので、今回の美月は本当にご褒美のような役柄で楽しめました。鼻くそをほじくるところは、鼻がすごく柔らかいのでちょっと自信がありました(笑)。最初に読んだ台本は準備稿だったので決定稿でそのシーンがなくなったら嫌だなと思うぐらい、すごく楽しみにしていたので、あってうれしかったです。自分でも一皮むけた感じがしました。

-『聖☆おにいさん THE MOVIE ホーリーメンVS悪魔軍団』で福田監督にインタビューをした際に、「普段コメディーをやらないような人がとんでもないことをやったりするギャップが面白い。演技の幅も広がったりするから皆さんやりたがる」と言っていましたが、そんな感じなんですか。

 そうですね。どちらかというと、鼻くそほじりとかも、この作品でしかできないみたいな特別感があるので、嫌という感覚は全くなくて、逆に楽しみでした。失うものは何もない状態で出られるので、私は何でもやりますというスタンスでいました。

-もう一つの見どころはアクション、特に殺陣の部分だと思いますが、いかがでしたか。

 今回は“現代忍者アクション”ということで、忍者でありながら、ワイヤやCGを使ったり、ドローンも出てきたりと、近未来と過去をミックスしたような形でした。アクション部さんとアイデアを出し合いながらやりました。できないことを克服しようということで、練習の段階で「これはできる」となった時に、まだしたことがない技をあえて入れてくれたりして、すごく課題を与えてもらえる練習をしました。

-特に刀を使うアクションがすごかったです。

 どちらかというと(山﨑)賢人さんの方が大変だったと思います。私は超怪力で超強いという役だったので、あまり派手に立ち回らないというのがありました。ただ今回は、どちらかというとアクションよりもお芝居の方を意識したかもしれないです。不気味さだとか、サイコパス的なところだとか…。でも、キャラクター的にはどこかかわいらしい部分もある。そういうことを考えながら演じるのは楽しかったです。

-以前、中国武術を習っていてアクションには強い思いがあると伺いましたが、今回はいかがでしたか。

 やはりアクションシーンとなると簡単には撮れないですし、普通の撮影以上にいろんな人たちが体を張って作り上げてくださるわけですから、 自分のできる範囲では、皆さまへの恩返しとして、求められているもの以上のものを提供したいと思います。自分に関わってくださる方たちには、常にリスペクトの気持ちを持って、常に尊重し合う関係の中でアクションシーンを撮っていきたいと思っています。

-山﨑賢人さんとの共演はいかがでしたか。

 今までも何度か共演させていただきましたが、賢人さんのお人柄や懐の深さ、現場を和ませる力のようなものは、今回改めて強く感じました。今回うれしかったのは、初めて一緒に立ち回りができたことです。すごく新鮮だったし、何か目標が一つかなったように思いました。

-今回初めて福田組に参加してみて、どう感じましたか。

 現場では、スタッフさんもそうですが、誰よりも福田監督が一番楽しそうでした。監督はとにかく現場に笑い声を響かせてくれます。それに、監督が一番面白くて、何で自分で出ないんだろうというぐらい愉快な方なので、機会があればまたご一緒させていただきたいです。監督は、自分のプラン以上に「そういう手があったのか」みたいな発見を与えてくださるので、現場に行くのが楽しみでした。

-完成作を見た感想を。

 他の方人たちがすご過ぎて、私のパートは大丈夫かなと思うぐらいでした。アクションシーンもそうですけど、特撮映画を見ているようなワクワクするシーンもあります。撮影ではお会いできなかった方たちも多かったので、その方たちのシーンを見ながら、私は1カ月半以上撮影を頑張ったのに2、3日で終わった(佐藤)二朗さんとかが、おいしいところを持っていくんだなという焼きもちを焼きました(笑)。

-最後に、読者や観客に向けて一言お願いします。

 原作を好きな方も裏切らない楽しい映画になっていると思います。私個人としては結構体を張った部分があるので、新しい私を見ていただきたいなというのと、いろんなところでいろんなことが起きる映画なので、何度も見ていただきたいなと思います。

(取材・文・写真/田中雄二)


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