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「カムバック」採用 道内企業の対応は?

テレビ北海道 2024年7月6日 12時0分

今週のけいナビの特集のテーマは「働き方」。コロナ禍以降、多様な働き方が広がる中、優秀な人材を定着させようと知恵を絞る企業が増えている。そうした企業が新たな一手として取り組むのが、転職などを理由に退社した人材を再び雇用するカムバック採用だ。

札幌・中央区に本店を置く北海道信用金庫。道央圏に本店を置いていた3つの信用金庫が合併し2018年1月に発足、預金残高は約1兆2000億円で北洋銀行、北海道銀行に次ぐ道内3番目の規模の金融機関だ。

そんな北海道信用金庫なのだが、やむを得ない事情で退職する職員が毎年30人ほどいるのが実情。この課題に対応するため、ことし5月から取り組み始めたのが「ジョブ・リターン」制度だ。結婚や妊娠、転職などで退職した3年以上の勤務経験がある人材に再び採用の門戸を開くもので、既に数件の問い合わせが寄せられている。

LPガス販売のいちたかガスワン(札幌)も、元社員の採用に積極的に取り組む。千歳営業所に制度を活用して再び入社した社員がいた。

副所長の石井祐輔さん。20代の頃に家庭の事情で北海道を離れねばならなくなり、茨城県内の会社へと転職。1年ほど勤めたが再び北海道に戻ることになり、その際に同社がカムバック採用に取り組んでいることを知った。再び戻ることへの抵抗は特になかったとのことで、周囲も「戻ってきてくれた」という雰囲気で迎え入れてくれたという。

同社の佐藤勝治社長は、「再び入ってくる人材は即戦力で仕事内容とのミスマッチもない。心強い存在だ」と説明。会社の業績向上の一翼を担っているとの認識で、今後もカムバック人材を多く受け入れるとしている。

カムバック採用に詳しいハッカズーク(東京)の冨岡瞳さんは、「カムバック人材が特殊という訳ではない。通常のキャリア採用と同じ扱いで企業は対応すれば良い」と指摘する。

週休3日も可能なフレックスタイム制を導入して人材の定着を図ろうとしている自治体がある。日高の浦河町だ。

池田拓町長は、「過去30倍から40倍あった役場の競争倍率が、今は1倍あるかないか。人材確保に非常に苦労している」とし、労働環境の改善が待ったなしだとする。そこで導入したのが、1週間の労働時間が38時間45分となれば、土日に加え平日にもう1日休むことができる制度だ。

まだ、週休3日を取る職員は少ないが、勤務開始時間を1時間早め1時間早く終業する職員は着実に増えている。ふるさと納税係の樫田莉玖さんは、これまでに10回以上制度を活用しているといい、「趣味の筋トレに没頭できる時間が増え、日々の仕事にも良い効果が及んでいる」と喜ぶ。

人手不足が進む中、企業が最近注目しているのが高校生。北海道労働局によれば、ことし3月末時点の高卒求人倍率は過去最高の3.82倍となった。今後も求人倍率は高まるとの見方が多い。

そうした状況の中、高卒者の就職支援に力を入れる企業がある。トモニソリューションズ(札幌)。2018年設立の若い企業だ。

高校生向けの就職情報誌を発行し、各高校に無料配布するほか、企業のイメージ動画の作成、ビジネスマッチングイベントの主催といった業務を手掛ける。深川練社長は、「これまでは求人票1枚で企業を決めねばならなかった高校生に、企業を選ぶ際の選択肢をもっと持ってほしいとの思いで事業を始めた」とする。情報誌は写真をふんだんに使用。高校生でも分かりやすいを基本に作られている。

番組コメンテーターの平本健太・北大大学院教授は、カムバック採用、週休3日制ともに時代に即した良い取り組みだと評価。「こうした動きを広げるべきだし、さらに広がっていくことを期待する」と話した。

(2024年7月6日放送、テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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