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投資で地域に活力を 「北海道リート」が始動

テレビ北海道 2024年7月13日 12時0分

今回のけいナビは、北海道内の物件を主な対象とした地域特化型の不動産投資信託「北海道リート」について特集する。

リートとは、投資家からの出資を元手に商業施設やオフィスビルなどを取得し、そこから得られる賃料収入や売却益を投資家への配当に充てる仕組み。この仕組みを活用したいわば「北海道限定」のリートが、ことし2月に運用を開始した北海道リートだ。

北海道リートを運用するのは、2022年7月に設立された北海道アセットマネジメント。同社の浜野恭義社長に立ち上げの理由を聞いてみると、そこには意外な現実があった。

番組MCの杉村太蔵さんが今回訪れた、JR札幌駅から大通公園へと続く札幌駅前通沿いには数多くのオフィスビルが立ち並ぶが、実はこのうちの半分の所有者は道外企業。最近建て替えや再開発が行われた物件に限ってみると、8割以上が道外企業の所有だという。

浜野社長は「ビルの所有者が道外企業だと、そこから得られる収益は道外に出ていってしまう。非常にもったいない」と話す。仮に北海道リートが投資家から資金を集めてこうしたビルを取得すれば、道外に収益が流れ出るのを防ぐことができ地域経済の活性化につながる。こうしたことがリート設立の背景にある。

ところで、北海道アセットマネジメントとはどのような会社なのか。調べてみるとニトリホールディングスやアインホールディングス、石屋製菓、伊藤組土建といった道内大手を中心とする20社が出資者として名を連ねていることが分かった。

不動産会社の藤井ビル(札幌)も出資した20社のうちの一つ。古屋賢司相談役に出資の狙いを聞いてみると、「多くの優良な物件が道外企業の手に渡ってしまっている。この流れを何とかしないといけない」という答えが返ってきた。

北海道アセットマネジメントは現在、札幌を中心に6物件を取得し資産規模は約80億円。これを3年後に250億円、10年後には1000億円規模にすることを目指している。

投資家への配当利回りは、4パーセント台とする方針。この目標を達成するためには、長期間に渡って安定的に収益を上げられる物件をいかに取得していくかが重要になってくる。浜野社長は「物件の価値をきちんと見極めて、高値で買わないようにすることが大事」と説明。風力発電や太陽光発電といったエネルギー関連施設の取得にも意欲を見せた。

そんな北海道リートにもう一つ期待されているのが、各地の再開発を支える役割だ。地元の事業者が出資して建てた物件を北海道リートが取得すれば、事業者に資金を戻すことが可能になり開発へのハードルが低くなるためだ。札幌以外の都市の案件にも積極的に関わっていく方針とのことから、これから再開発が動き出そうとしている苫小牧を取材した。

苫小牧では、JR駅南側にあった商業施設のエガオを解体し、交通や居住、商業の機能を持った新たな施設を建設する計画がある。市と地元の不動産会社との協議が難航して長年停滞したままだったが、両者が所有地を交換することでこのほど合意し、計画の動き出しが決まった。

市未来創造戦略室の林巧都市再生主幹は、来年度中に計画の詳細を明らかにするとし、「どのような機能を配置していくべきなのか議論を深めたい」と語った。

杉村さんは「北海道リートが各地の再開発に積極的に関わることを期待したい」とし、出身の旭川の商店街を事例に「リートの仕組みを活用して商店街再生ができないか探っていきたい」と話した。

(2024年7月13日放送、テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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