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大手に負けない 個性派スーパーの経営術

テレビ北海道 2024年7月20日 12時0分

今週のけいナビの特集は、小規模ながらも存在感を示す北海道内の「個性派」スーパーの経営について。番組コメンテーターの平本健太・北大大学院教授と磯田彩実アナウンサーが、札幌・北区にある店舗を訪れた。

訪れたのは「マルコストアー本店」。午前10時の開店前から行列ができる人気店だ。5月にリニューアルオープンしたことで、客数はそれまでの2倍に増えたという。

店内には新鮮な野菜や鮮魚が並んでいた。野菜は北海道産が中心。鮮魚売り場は対面販売で、注文に応じてさばいて提供してくれる仕組みだ。

その鮮魚売り場向かいの冷凍品コーナーに、ちょっとした特徴があった。冷凍品用のショーケースに入っているのではなく、そのままの状態で販売されているのだ。客が見やすく、手に取りやすいようにという配慮からで、凍らせるための電気代は通常の4倍かかってしまうのだが、あえてこのような陳列をしているという。

山川悟史社長は、「客1人当たりの利益率は低いが、多くの客が訪れることと店舗運営コストの無駄を省くことで利益を上げられている」と説明。独自の仕入れルートや、商品が常に1パーセント引きとなる会員カードの提供といったサービスの拡充で、大手と一線を画しているとした。

独自の経営を貫く企業はほかにも。旭川を中心に「DZマート」を展開するダイゼンもそのひとつ。1店舗をスタッフ2人で回す「超効率化」が特徴の店舗だ。7月からAI(人工知能)を活用した自動発注システムを導入し、今後は商品の値付けにもAIを取り入れるという。

そのダイゼンが掲げるのが、人口1万人規模の小商圏をターゲットとした高速出店戦略。この1年で7店を新たに出店し、店舗網を一気に30店にまで広げた。道央圏にも進出。4月には岩見沢にも出店した。

柴田貢社長は、小商圏を主な出店先と位置付けながらも、「今後は岩見沢のような都市部にも一定程度出店していきたい」とする。2028年度までに店舗網を50店に拡大、売上高200億円(今年度は100億円超の見込み)を目指している。

旭川の「小柳ストアー」は、ダイゼンとは真逆の経営手法だ。あえて「昭和」のやり方にこだわることで、客から支持を得ている。

レジは今も手打ち。仕入れは担当者の「堪」頼みだ。寺井一志代表は、「目まぐるしく変わり過ぎる時代の中で変わらないことを大事にしている」とし、創業以来の経営を変えるつもりはないとする。

札幌・中央区にある「フーズバラエティすぎはら」。こちらも独自の経営を貫く。他店にある商品は扱わず、高くても良いものを厳選して販売するようにしている。

過去には拡大戦略を取ったこともあったが、周辺のスーパーとの価格競争に巻き込まれたため、現在の経営手法に舵を切った。杉原俊明社長は「小さなスパイス的な役割の店があってもいい。そこを目指している」と狙いを語る。

平本教授は、「スーパー経営に正解はない。顧客のニーズを的確に捉えて商品力、サービス力を高めていくことが大事」と説明。こうした点に対応しながらかけるべきコスト、必要のないコストを見極めることが、これからのスーパー経営には求められるとした。

(2024年7月20日放送、テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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