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駅前ワイナリーも 余市のワインと食材で町おこし

テレビ北海道 2024年8月13日 19時9分

地元のワインと食材で町おこし。後志の余市町の魅力をより多くの人に知ってもらうため、新たな挑戦を始めた人たちがいます。 

「ワイン、ときどき豚」。

余市駅の近くにあるユニークな名前のこの店、築50年、延床面積およそ70坪のリンゴ店販売店の建物を買い取り、6月中旬に1階部分を飲食店としてオープンしました。費用の一部はクラウドファンディングで募りました。店名にあるように地元・余市町、仁木町のものを中心に、ワイン好きが憧れる希少な銘柄が揃います。

こんな仕掛けもー

1枚600円のコインを入れると厳選した地元のワインをテイスティングサイズで気軽に味わえる仕組みです。ワインとともに楽しむのは、豚肉を中心に、地元にこだわった食材。シェフは、ソムリエの資格も持つ余市生まれの藤沢和也さんです。 

藤沢さんは「余市の食材を食べて育ったので、ふるさとの味として自分が一番おいしく感じられる。それを一番伝えられるのも自分。客においしさを伝えて町を盛り上げたい」と店を開いた狙いのひとつを語ります。

 一番人気の料理はワインポークを使ったヒレカツです。ワインポークは、「北島豚」のブランドで有名な町内の北島農場が育てています。「脂が全然くどくない。脂がおいしいから苦手な方も食べられる」といいます。

 店の仕掛け人は、3年前に東京から移住した本間朋子さんです。元々ワイン好きだった本間さんは、東京でライターをしていましたが、コロナ禍を機に余市で地域おこし協力隊になる決断をしました。ライターの経験を生かし町の広報をしていた中で、気付いたことがありました。

 本間さんは「余市はおいしいものが多い所。ワインも飲めて水産物も果樹も多く畜産物もある。すごくいい場所だなって思ったんですけど、気軽に食べて飲める場所が少ないなって思った」と「ワイン、ときどき豚」をオープンさせた理由を教えてくれました。 

地域おこし協力隊で同僚だった実田有希さんも合流し、移住者目線で感じた課題を解決し、町の強みに変えようとチャレンジをはじめました。

飲食店の次は、ゲストハウスのオープンです。余市や仁木産のワインへの注目が高まり、ここ数年の間にワインを楽しめる宿泊施設が生まれていますが、まだまだ十分ではありません。古民家の良さは残しつつ、壁紙の張り替えなど内装工事はほぼ完了。2~5人用の和・洋5部屋に最大19人が宿泊できます。ベッドを搬入し、手続きが終わり次第、ワイン関係者の受け入れから始め、年明けには一般の予約も受け付ける考えです。

3人の挑戦は「飲食」「宿泊」だけではありません。1階の店舗隣のガレージは、ワインの醸造を見ることのできる「町中ワイナリー」にする計画です。町内には現在19のワイナリーがありますが、少人数での運営で、見学者を受け入れる余裕はないところがほとんどです。

 本間さんは「ほとんどがご夫妻でやっているような小規模なワイナリー。毎日の大変な農作業の間に観光客を入れて、テイスティングをさせてとかは難しい」と話します。

 ブドウ畑は去年取得済みで、6月頭には、クラウドファンディングの支援者と苗を植えました。

 「入口から作っている風景が見られたり、作ったものを隣で飲めたり。(製造)現場と飲む所の近さを表現できるワイナリーを目指したい」という目標があります。

 ワインを余市町に一層根付いたものに。官から民へバトンを引きつぎ、まいた町おこしの種は、収穫の日を待っています。

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