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GX投資を呼び込め 北海道の可能性は

テレビ北海道 2024年8月31日 12時0分

今回のけいナビの特集は、脱炭素化と経済成長の両立を目指すグリーントランスフォーメーション、GXがテーマ。太陽光、風力といった再生可能エネルギーの先進地である北海道が、GXによってどのように変わろうとしているのかを考える。

北海道と札幌市は6月、政府から金融・資産運用特区に指定された。この特区指定を追い風に、活発なGX投資を呼び込もうというのが最近の大きな動きで、道と市は今後、40兆円規模の投資呼び込みを目指すとしている。

投資を呼び込むために市が立ち上げたのが、グリーントランスフォーメーション推進室だ。去年の発足段階では3人だけだったが、ことし4月に組織を大幅に拡充。40人態勢となった。

推進室が今、力を入れて取り組んでいるのは、GX関連の投資をする企業への税制優遇措置の検討と、投資を呼び込むための金融機能を強化だ。横川宗幸事業担当課長は、「世界の金融都市のような機能を札幌にも集積したい」と力を入れる。

秋元克広市長は、「再生可能エネルギーでつくった電気を各地に供給し、その上で余剰電力を売電できるようになれば道内経済の活性化につながる」とし、そのために必要な多額の資金を投資によって呼び込む考えを示している。

市が現在、もうひとつ力を入れているのが、水素の利用拡大だ。市内中心部に大型のバスやトラックにも対応できる水素ステーションを建設中。来年度から稼働するという。

市内には普通車向けの水素ステーションは既にあるが、大型車向けは完成すると道内初となる。施設を建設し運営するのは産業ガス大手のエア・ウォーターで約10億円を投じた。市は、このステーションをきっかけに市民の水素への関心を高め、水素自動車の普及につなげたい考えで、必要に応じて市内の別の場所にもステーションを整備する方針だ。

GX関連投資が今後増えることを見据え、道外大手企業が札幌に拠点を開設する動きも出てきている。海運業国内最大手の日本郵船は4月、北海道支店を開設した。

日本郵船自体が発電施設を造る訳ではないが、今後増加が見込まれる洋上風力発電工事に必要な資機材を運んだり、メンテナンス人員を送り届けることを視野に入れている。

6月に北海道支店を開設したのはミツウロコグリーンエネルギー。同社は、送電線に直接接続する系統用蓄電池を今後道内各地に設置する計画だ。蓄電池は再エネでつくった電気を余った時にため、逆に不足している時には供給する役割を担う。天候によって発電量が左右される再エネの導入拡大には必須の設備といえる。

札幌市の動きを追い風に、GX関連の新構想を描いている地域がある。国内最大級の工業基地、苫東だ。

苫東では現在、再エネ電気を自営線によって立地企業の工場へ送り、余った電気を水素やアンモニアの製造に活用しようとする「苫東GX HUB構想」が動き出そうとしている。

既に一部の工場では再エネ電気を活用していて、つくった電気を札幌など遠く離れた自社の施設に供給する「自己託送」の取り組みも出てきている。

番組コメンテーターの平本健太北大大学院教授は、GXは暮らしにも大きく関わる取り組みだとした上で「スピード感を持って課題を洗い出し、解決していくことがGX投資を呼び込む上で大事なこと」と説明した。

(2024年8月31日放送、テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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