これまで人気の洋菓子やスイーツを開発してきた札幌の企業が、新しいブランドを立ち上げました。どんな商品を売り出すのか、いち早く製造現場を取材しました。
きのとや、千秋庵、ノースマンなど、北海道を代表する洋菓子ブランドを手掛ける「北海道コンフェクトグループ」。今回新たな商品を開発したということで、長沼社長にお話を聞いてみると・・・
長沼真太郎社長「われわれとしては初めてのスナック、しょっぱい系のお菓子でいろいろと探していく中でラーメンスナックにたどり着いた」
洋菓子やスイーツを作ってきた企業が、ラーメンのスナック菓子を作る?一体どういうものなのか、小樽の製造工場にお邪魔しました。
「ラーメンスナックの一番肝の麺を実際に作る機械です」
まず出てきたのは、製麺機。本物のラーメン作りで使われるものと同じ機械を導入しました。
数種類の小麦粉を使い、スナックとして食べるのに最適な配合で、自家製中太ちぢれ麺を作っています。
そしてこちらは…(長沼社長)「麺を素揚げする機械です」
実はこの機械、以前は別のものに使われていたということなんですが…
(長沼社長)「ずっと長い間、かりんとうを揚げる機械として使っていた」
この工場は、「北の食品」として2年前にグループ入りするまで、主にかりんとうを製造していました。事業の縮小によって使われなくなった製造ラインを生かしながら、新感覚の土産菓子を生み出したいという長沼社長の思いが、ラーメンスナックの開発に結び付きました。長沼社長は「ラーメンスナックは歴史があるが大きな変化がないお菓子だと思っていて、より面白く、よりおいしくできる可能性があると考えた」と言います。職人の技術や製造設備自体も眠っているものが多くてもったいないので、それを生かしながら新しい価値観を持つ菓子に挑戦できたのは意義が大きいと考えています。
そんな長沼社長が、新商品の製造工程で最も特徴的だと話すのが、味付けです。
従来のラーメンスナックは、生地自体に味付けをしてから揚げるのが一般的でした。しかしこの商品は、揚げた麺に、味噌やニンニクなどを入れたスープと油を混ぜ合わせ、コーティングしています。
ラーメンにも味はついていないからスープを付けて食べるのが当たり前ですが、
それと同じで油にスープを染み込ませた「メルトスープ」を外側に付けてリアルなラーメンの食感にこだわったといいます。この「メルトスープ」製法をはじめとする今回の商品づくりの中心人物が、関辰朗さんです。実は関さん、普段は、洋菓子をつくるパティシエとして働いているんです。
ラーメンスナックを開発すると聞いたときは、「まず驚きがあったが企画自体の面白さを感じた。これが成功すればすごいものになる」と感じたそうです。関さんは、ラーメンスナックの開発にパティシエの経験が生きたと話します。
関辰朗さん「麺の表面にスープのコーティングをしているが、そこがチョコレートの菓子作り)と似ている部分がある」。
そこで温度調節などで舌ざわりがよくなるように調節できたのは洋菓子の経験が生きている」と振り返ります。こだわっているのは麺だけではありません。ネギ、もやし、コーン、チャーシューといったラーメンに欠かせない具材を、通常よりも低い温度で揚げる「真空フライ」によって色やうまみを保ったままスナック化しました。
野菜は道産食材を使い、チャーシューは札幌の食肉加工会社と協力して作っています。真空フライするということで味がしまっていく、濃くなっていくのであっさりとした味付けにしたのと低温加熱で柔らかい仕上がりにしたそうです。1年半ほどの開発期間を経て完成したのがこちら。新ブランド「ラーメンクラブ」です。
商品の袋にも特徴があり、ラーメンのどんぶりのようにして、美味しそうな見た目で、かつおしゃれなデザインにしました。
麺の食感はかなり硬め、ざくざくとした感じながら口の中に広がる味わいと鼻に抜けるにんにくの香りは札幌の味噌ラーメンそのもの。大きかったチャーシューも真空フライで10分の1ほどのサイズに。それでもしっかり肉のうまみが濃縮されています。
新ブランド第一弾の「札幌味噌ラーメンスナック」は、5袋入りで税込み1080円。
今後は、しょうゆなどほかの味付けやご当地ラーメンのスナック化にも挑戦していきたいとしています。
長沼社長は「現在はあくまで甘いものがメインになっているのがお土産菓子の業界だと思うので、次の新しい北海道を代表する土産菓子ブランドに育っていけばいいなと思っている」と期待を込めます。
ラーメンスナックは、9月1日から新千歳空港で期間限定で販売されるほか、9月18日からは札幌の百貨店でも買うことができます。