上川町の酒蔵が北電と共同で水力発電所のトンネルを使った日本酒の熟成に挑んでいます。今月4日からトンネル内への日本酒の搬入が始まりました。
北電と共同での日本酒の熟成を進めているのは上川大雪酒造です。上川大雪酒造は2017年に道北の上川町に、道内ではおよそ20年ぶりとなる日本酒の酒蔵を新設しました。その後、2020年に帯広に、翌21年には函館にも酒蔵を開設。帯広の酒蔵は、全国的に例がない「大学の中にある酒蔵」として注目を集めています。
醸造開始からまだ7年の新しい酒蔵ですが、北海道産の酒造好適米を使った純米大吟醸が2019年に日本航空のファーストクラスで採用されるなど高い評価を得ています。日本酒の熟成に利用するのは京極町にある北電所有の水力発電所のダムで、施設管理などに使っているトンネル内です。施設の有効活用を狙う北電が独自の戦略でブランド力を築いてきた上川大雪酒造に打診して実現しました。
トンネル内は1年を通じて温度が7℃から10度に保たれていることや、日光の影響を受けないことから、貯蔵場所として適しているとみられていて、熟成期間は1年を予定しています。
上川大雪酒造の総杜氏でもある川端慎治副社長は「通常、関係者以外立入禁止の水力発電の施設の一部でやるということは、環境的にも恵まれているところなので、そういった面でもお酒自体にも付加価値が出る」と話しています。
使われなくなったトンネルなどを利用した熟成は、ワインでは全国的に行われていますが、日本酒では珍しく、北電の斎藤晋社長は「ユニークな酒造りを通じて北海道の活性化につながれば」と話しています。