テレビ北海道本社がある、創成イーストエリアの話題をお届けする『つながる創成イースト』。今回は、去年ユネスコ無形文化遺産に登録された『日本の伝統的な酒造り』で注目を集める老舗酒蔵をご紹介します。
『千歳鶴』でおなじみの日本清酒。創業153年、創成イーストエリアで製造を続ける理由は良質な水にありました。
札幌で最も古くから酒造りを行ってきた『日本清酒』。創成川のほとりで、創業者・柴田與次右衛門(しばた・よじうえもん)が1872年(明治5)に造り酒屋を開店したのが始まりです。おととし(2023年)日本清酒では64年ぶりに酒蔵の建替えが行われました。
使用するのは、新十津川町産の酒造好適米。米を洗い、水に浸す洗米作業は、数秒単位で管理される重要な工程です。札幌の都心にありながら、道内でも屈指の水質を誇る豊平川の伏流水。この良質な仕込み水が千歳鶴の原点です。
川村哲夫社長は「ほかの地域で造ることも建て直す時に考えたが、この裏にある豊平川の水を使って千歳鶴を造り出したということを、ずっと伝統的に守ってきて、豊平川の伏流水は、酒を造る大きな要素なので、ここで造り続けることを決めた」と話します。
最新の設備が導入された新しい蔵では、年間を通して酒造りが可能に。搾った日本酒はすぐに瓶詰めされ低温で熟成。よりフレッシュな商品が味わえるようになりました。酒蔵に併設する『千歳鶴酒ミュージアム』では、店頭に並ぶ商品を試飲して購入することができます。
去年12月、ユネスコ無形文化遺産に『日本の伝統的酒造り』の登録が決まりました。芸能や伝統工芸技術などのうち、国際的に保護すべきと認めたもので、和食や歌舞伎などに続き23件目となります。今後、国内外からますます日本酒に注目が集まりそうです。
「日本国内の販売量は落ちているが、輸出はここ10年くらい伸びていて、海外へ広めたいのと酒作りは日本酒に限らず“良いお酒は旅をしない”と昔から言われている。その土地で飲まれていくのが一番良い。ここに来て飲んでいただくお酒が一番消費者にとって喜ばれる要素だと思っている」と川村社長は札幌中心部での酒造りを続ける意義を語ります。
日本清酒ではベトナム、韓国、アメリカなどを中心に輸出が高まっているとのこと。今後ますます日本酒に注目が集まりそうです。