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北海道のホテル 「高級路線」に「差別化」 「朝食バトル」も

テレビ北海道 2025年1月18日 12時0分

今週のけいナビの特集は、北海道内でホテルを展開する各社の戦略について。来道観光客数がコロナ前の水準へと戻りつつある中、どのような取り組みで誘客を図っているのか探った。

札幌の奥座敷、定山渓温泉にある定山渓ビューホテル。通信販売大手のベルーナが2021年に取得、子会社のグランベルホテルが運営している。この定山渓ビューホテルの15階、16階が先月、高級路線の客室としてリニューアルオープンした。

15階と16階にはこれまで44室があったが、部屋数を33室に減らし一室当たりの面積を広くした。ロイヤル、プレミア、デラックスといった6タイプの部屋があり、宿泊料金は1泊2食付きで4万5000円からだという。

アルコール類を自由に楽しめるラウンジも設けた。総工費は14億円。このタイミングで多額を投じ「高級路線」を鮮明にした背景にあるのは、上質な部屋を望む客が増えていることと、インバウンド(訪日外国人)の増加だ。

道内を訪れるインバウンドは、2023年度は234万人まで回復した。コロナ前の2018年度の312万人にはまだ及ばないものの回復は堅調。道の担当者は「2024年度はコロナ前とほぼ変わらない水準になるのではないか」と話す。定山渓ビューホテルは、高級路線でインバウンドや国内の富裕層の需要を取り込む一方、従来から多く訪れているファミリー層にもきちんと訴求する戦略だという。

OMO7旭川を運営する星野リゾートは、富裕層はあえて狙わない戦略で他社との差別化を図っている。ターゲットとするのは、ホテル側が提案するサービスを目当てに訪れる人たちだ。

今季は「旭川スキー都市宣言」を掲げ、スキー利用客の需要を取り込んでいる。ロビーに周辺のスキー場の状況が分かるライブカメラを置き、ホテルとスキー場を結ぶ無料送迎バスも運行する。

また、夕食時には市内の飲食店へと誘導する試みも。ホテルから徒歩500歩圏内にある飲食店の情報を館内で発信する「ご近所マップ」を用意した。照井太陽総支配人は「宿泊客が旅を楽しめる選択肢を広げたい」と、その理由を説明する。

札幌中心部では、各ホテルが朝食メニューを競い合う「朝食バトル」ともいえる状況がみられている。

ベッセルイン札幌中島公園は、海鮮の盛り放題やステーキ、ラーメンといったメニューを前面に押し出している。藤沢勇作支配人は「札幌に泊まる客の多くが目当てにしているのが朝食。朝食単体でみると利益はほぼないが、リピーター確保のためにも手を抜くことはできない」と強調する。

京王プラザホテル札幌は、「朝食はもはや観光」という考えから、握りたてのすしも提供し人気を集めている。小玉一孝支配人は「客が宿を決める際の大きな要素の一つが朝食であることは間違いない。施設の快適性を高めることはもちろん重要だが、朝食も外すことはできない」としている。

観光客がさらに増えようとする中、ホテル各社がこれからどのような戦略に打って出るのか、目が離せない状況が続く。

(2025年1月18日放送、テレビ北海道「けいナビ~応援どさんこ経済」より)

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