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世界が注目!4月の試作ライン稼働を控えるラピダス・清水専務に単独インタビュー

テレビ北海道 2025年1月16日 18時4分

ことし道内経済で最も注目されているのが、次世代半導体製造のラピダスによる試作ラインの稼働です。
開始予定の4月1日が迫る中、工場建設の陣頭指揮をとる清水敦男専務に話を聞きました。

2023年2月、千歳への進出を発表した半導体製造のラピダス。2ナノメートルというまだ世界でも実現していないサイズの次世代半導体を量産を目指します。 
現在、イームと呼ばれる工場の建設が急ピッチで進んでいて、先月には製造に必要な最先端の機械の設置も始まりました。既に100人以上の社員が道内に来ていて、清水専務も去年道内に拠点を移しましたそうです。日に日に一体感が高まっているのを肌で感じていると言います。 

「初めから非常にタイトなスケジュールであるってことは当然わかってます。ですけどもその大変なスケジュールを設定するに足る非常に価値のあるプロジェクトだとみんなわかってますので社員の士気は非常に高い」(清水専務)

ラピダスは現在、アメリカ・ニューヨーク州でIBMのエンジニアとともに研究開発を進めていて、ウエハーに回路をつける「前工程」の試作を4月から千歳で始める予定です。技術的に非常に困難とされる2ナノの半導体製造ですが、本当に実現可能なのでしょうか。 

「われわれ4月1日から実際に日本ではじめますけれどその時点はまだ2ナノとしての商品レベルまでまだ達していないんです。でもそこに行くまでにこういうマイルストーンをいつまでに達成するというのはいままでちゃんとクリアしてきていますということは申し上げられます」(清水専務)

現在の半導体業界は開発・設計と先ほどの「前工程」、そしてウエハーを半導体チップに切り出す「後工程」が分業されています。ラピダスはそれを一貫して行う「ラムズ」と呼ばれる新たなビジネスモデルを目指しています。これにより製造期間が短くなることに加え、多品種生産のニーズに対応できるとしています。

「市場に何を特徴としてラピダスの価値を認めてもらうかと言ったときに大きな要素の1つはラムズなわけです。AIをフルに活用したサービスになり2027年の量産開始する時点からできるようにするんですけれど学習をどんどんしていくことができる。なので量産開始した時点で100%の完成というのではなくいろんなビジネスをやっていく中でどんどん改良されていくものです」(清水専務)

しかし、量産化までに5兆円の資金が必要とされています。既に政府から総額9000億円以上の補助が決まっているものの残り4兆円近い資金をどう調達するかも大きな課題です。 

「ラピダスは2年前に発足したばかりの会社ですからラピダスだけで1本立ちというのはなかなか難しいところもある。このプロジェクト自身が皆様方の希望だと思ってますので必ずいろんな方々の支援が得られると思っています」(清水専務)

また、ラピダスの進出が決まって以降、健康への悪影響が懸念される有機フッ素化合物=PFASなどによる環境汚染や健康被害を不安視する声も上がっています。
ラピダスはPFASを含む可能性のある材料は全量回収し、産業廃棄物として適切に処理するとしていますが、こうした声については。

「われわれができる限りの環境対応は最初からやっていきたいと思ってます。環境問題はある年の基準にOKだからといって5年後・10年後もそのままOKかというと時とともに基準が変わっていくものですので常にそういうところを見ながら進める。皆様方がもし不安に思われることがあるんだったら積極的に説明して理解をいただく努力はずっと続けていきたい」(清水専務)

既に千歳市内では地価や家賃が上昇するなどラピダス進出による経済効果も出てきていますが、今後道内経済全体に与える影響はますます大きくなると見ています。

「影響は2種類あると思ってまして、1つは本当に製造に直結するようなコアな部分。もう1つはイーム(工場)で24時間365日生活していくために必要なサービスでそちらは十分に道内企業からのサポートはしていただけると思ってます。実際食堂とか通勤バスの運営とかそういうところでは道内企業に最初から入っていただいて進めている。そういう仕事はこれから本格化していくにしたがってどんどん増えていくかなと。

もう一方の製造のコアの部分は正直最初の時点ではやっぱりなかなか難しいところがある。われわれの事業規模が大きくなっていったときに使う材料のボリュームはどんどん増えてくる、それはじゃあ北海道にそういう工場なりを造りましょうかという話になってくると思う。いまは長距離を運んでこなければならないのでラピダスとしても最終的にはそうなることを望んでいる」(清水専務)

最後に大きな一歩に向け道民へのメッセージを。

「われわれがここでつくる最先端デバイスは皆様方の未来の生活を豊かにするもためのものです。でもその未来の生活を豊かにするために非常に貴重な美しい自然を壊す・阻害するようなことはあってはならない。どちらもちゃんと守りつつ未来の生活をよくするものをこの北海道の地から世界に出していきたいと思いますので皆様方に見ていただきたいですし応援していただければ」(清水専務)

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