太古のロマンを感じさせてくれる恐竜。その恐竜研究の第一人者である北大総合博物館の教授が、アラスカで行う調査のための寄付を募っています。研究の狙いはどこにあるのでしょうか。
札幌にある北海道大学総合博物館です。今からおよそ90年前に、当時日本領だった南サハリンで発掘された恐竜の化石など、貴重な資料が展示されています。博物館の副館長でもある小林快次教授に案内してもらいました。
小林教授「ここにあるのがカナダで発見されたパラサウロロフスという恐竜。これによく似た恐竜がロシアからも発見されている。つまり、こういうような恐竜が北米大陸からアラスカを通ってアジアにやってきたというのが分かっているので、そういう意味ではこの恐竜もアジアとアメリカの恐竜のつながりを示す一つの例になる」
小林教授は、ヒトはサルから進化したというような生物同士の関係について、化石研究を通じて探ろうとしています。胆振のむかわ町で発見されたカムイサウルス(むかわ竜)の発掘に関わるなど、恐竜研究の第一人者として知られています。
小林教授がむかわ竜の研究に携わるようになったきっかけは、むかわ町民が見つけ町に寄贈していたしっぽの化石の鑑定を頼まれたことでした。鑑定の結果、その化石が貴重なものであると分かり、本格的な発掘調査をすることになりました。
小林教授「私は世界中で恐竜化石を発掘調査してるので、そういう意味ではあまり興奮はなかった。実際にこれはとんでもないこと、とんでもない発見だと実感したのは、カムイサウルスの背骨の骨を並べた時。とんでもなく完全体に近く、しかも巨大な恐竜が日本から初めて発見されたという歴史的なインパクト」
調査の結果、その化石は新種の恐竜であることが分かり、カムイサウルス・ジャポニクスという学名がつけられました。
今回、小林教授が計画しているのはモンゴルとアラスカでの恐竜の発掘調査です。むかわ竜の祖先が北米大陸からアラスカ、ユーラシア大陸を経由して北海道にやってきたという仮説を立証するためには、海外での発掘調査が必要だと考えるようになりました。今回の調査費用を捻出するため、初めてクラウドファンディングで寄付を呼び掛けています。
クラウドファンディングに参加してくれる人の中には、恐竜ファンも少なくありません。小林教授は研究の過程をリアルタイムに公開していく予定で、科学の重要性を実感してもらえるといいます。
小林教授「最初から研究結果ではなく、どうやってそこに至ったのかというところを体験してもらうとより重要性を実感できるかなと」
北大は、クラウドファンディングで研究資金を集める取り組みに力を入れています。これまでに14例の研究が成立していて、小林教授の研究の寄付は来月14日まで募集しています。窓口となっている北大の基金室は「恐竜など子どもたちに人気のテーマはもちろん、様々な研究に関心を持ってもらうきっかけになってほしい」としています。