Infoseek 楽天

北海道の市町村を「深掘り」 上川北部3市町の産業は

テレビ北海道 2025年2月1日 12時0分

今回のけいナビの特集は、北海道内の市町村の産業、企業、課題をクローズアップするシリーズ「市町村深掘り」。旭川の北側、上川北部にある下川、名寄、美深の3市町を巡った。

まず訪れたのは下川町。人口は約2800人。面積の9割が森林という林業の町だ。葛西紀明さんら有名なスキージャンプ選手を多く輩出している町としても知られている。

町の最大の特徴ともいえるのが循環型森林経営。毎年50ヘクタールを伐採し、それと同じだけの量を植林する。伐採した木は町内にある5つの加工場へと運ばれるほか、公共施設の内装材や外装材、家具の原料として使われている。端材を割り箸などへ再生する取り組みも進む。

加工場では、主に建築資材を生産。切った木をそのまま売るのではなく加工することで付加価値を高め、原木の2倍、3倍の値段で町外に出す。仕事と収益が生まれるので、安定的な雇用を維持できるという。

また、加工で出る端材をチップにして木質バイオマスボイラーの燃料として活用、ボイラーで作った温水を暖房用の熱源として町内の公共施設や住宅へ供給している。現在では年間3800万円の燃料コスト削減を実現。町民への保育料補助や給食費補助、中学生までの医療費無償化といった取り組みの財源にしている。

続いて向かったのは、下川から車で30分ほどの名寄市。人口は約2万5000人。基幹産業は農業で、もち米の作付け面積は全国一だ。

その名寄で90年続く名寄土管製作所。水田の水はけを良くする暗渠(あんきょ)管などが主力商品なのだが、意外なものも作っている。

それは、プロ野球の球場で使う土。名寄の土は水を含むと硬く締まる性質があり、打撃や捕球の際に踏み込みやすいと評判なのだ。北海道日本ハムファイターズは本拠地を北海道に移した2004年から、この土を球場で採用しているという。

「勝利に導く土」としても評価されている。これまでに導入した4球団はいずれも日本一となった。横浜DeNAベイスターズは、選手からの要望で横浜スタジアムの土に採用し昨年、26年ぶりの日本一に輝いた。

松前司会長は、「名寄の地域資源として大切にしていきたい。全国の12球団に声をかけていただきたい」とし、今後の販路拡大を視野に入れている。

最後に訪れたのは美深町。冬場はマイナス30度以下となることもある極寒の町。約3700人が暮らしている。

美深の代名詞ともいえるのがチョウザメの養殖。もとは観光資源として飼育を始めたのだが、新たな産業へと育て上げようと1997年に本格的な養殖を開始した。チョウザメの養殖は難しく、稚魚の大半が死んでしまう事態にも直面したが、北海道大学の協力を得て技術を高めていった。

苦労の末、2021年からキャビアの一般販売を開始した。これまで毎年約11キロを生産。20グラムで1万2000円と高額だが、品質と味の良さから高級ホテルやレストランからの引き合いが増えているという。

町は今、生産量を増やすため卵を全て雌にする取り組みを進めている。品種改良と餌の調整がカギで、チョウザメ産業推進室長を兼任する企画商工観光課の紺野哲也参事は、「年々需要が増えていて今の生産量では足りない。来年はもっと増やさないといけない」と力を入れている。

(2025年2月1日放送、テレビ北海道「けいナビ~応援どさんこ経済」より)

この記事の関連ニュース