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グラウンドは亀裂と陥没…珠洲・緑丘中野球部の「最後の夏」6年ぶりの県大会へ

テレ金NEWS NNN 2024年7月11日 18時36分

全国の舞台を目指す中学生の球児たちもいま、県大会の真っ最中です。奥能登から唯一、出場しているのが珠洲市の緑丘中学校。地震に負けじと大会に臨む野球部を取材しました。

テレビ金沢NEWS

夏空のもと、白球を追いかけ汗を流す球児たち。珠洲市の緑丘中学校野球部は能登地区の予選を勝ち抜き、6年ぶりに出場する県大会に向け、練習に励んでいました。

瀬法司 大和 主将

「皆、気持ち上がっている所なので、この状態で行きたいです」

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「昔からの友達だし、野球の友達でもあるし、最高の仲間です」

ただ元日の能登半島地震では部員全員が金沢市への集団避難を経験。3月まで部活動の中断を余儀なくされました。普段使っている学校のグラウンドもいたるところに亀裂や陥没が見られ今は学校から近いグラウンドで練習しています。

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かつては全国大会で3位に輝くなど、石川の強豪校として名を馳せていた緑丘中学校。現在、部員は13人と県大会に出場するチームとしては最も少ない人数です。

西村 拓朗 監督(※緑丘中野球部OB)

「自分の同級生だけで19人いて、 1個上と1個下(の学年)も2桁いるかいないかだったので、 それに比べると大分少なくなりましたね。コミュニケーションを積極的に取ってダメなところはダメと指摘し合えるいい仲だと思います」

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この夏、3年生9人が引退すれば、部員は4人に。来年は他校との合同チームになる予定で「緑丘」としては最後の大会です。エースは3年の浅井 和人さん。

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バッテリーを組むのは同級生の山崎 響暉選手です。

山崎 響暉選手

「負けたら最後の大会なので、しっかり皆で協力して勝ちたいです」

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練習が終わり、山崎さんが歩いて向かったのは近くの仮設住宅。家族6人で暮らしていた家は解体され、今はここで暮らしています。

母・山崎 瞳さん

「まあ多分我慢してるのかなとは思ったり。ここの仮設も(元は)野球場。全部仮設になっちゃって」

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それでも山崎さんが野球に打ち込むことが家族全員の希望となっているといいます。

母・瞳さん:

「練習してきたことをちゃんとできるように気持ち強く持ってやってくれたらなって思います。頑張ってください」

響暉さん:

「はい。」

同じころ、バッテリーを組む浅井さんは自宅の前で自主練習に励んでいました。教えているのは家族が営む飲食店に訪れた高校野球の指導者です。

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浅井さん:

「ピッチャーのことも聞けて、バッターのことも聞けて、どっちにも役立つからありがたい」

「全員野球で絶対勝ちます」

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迎えた試合当日。

対戦相手は3年前、全国大会にも出場している小松市の板津です。

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攻撃の口火を切ったのは緑丘でした。3番に座る浅井選手がチーム初ヒット。続く4番・山崎選手の犠牲フライで初回に緑丘が先制点をあげます。その後も猛攻は続きます。

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また守備でも、好プレーが飛び出し、試合の主導権を渡しません。

8対4で快勝を収めた緑丘。県大会での勝利は実に8年ぶりです。

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浅井 和人 選手

「色んな人の支えがあってこのグラウンドに立てているので感謝しかないです。みんなで全員野球で全国に出ます」

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瀬法司 大和 主将

「3年生、2年生、1年生も最後の緑丘なので、いい緑丘であるように勝ち続けたい」

13人の選手たちは球史に「緑丘」の名前を刻もうと被災を乗り越え、頂点を目指します。

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