14人の命を奪った奥能登豪雨から1か月。大切な人の命が奪われた悲しみに立ち向かい、残された家族は少しずつ前へ進もうともがいています。
14人の尊い命が奪われた奥能登豪雨から1か月。いまだに輪島市では1人の行方がわかっていません。
石川県内の住宅被害は、全壊や浸水などあわせておよそ1500棟にのぼり434人が避難生活を余儀なくされています。
4人が犠牲となった輪島市久手川町。土砂や流木を取り除く復旧工事が進められています。
この場所では先月、中学3年生の喜三翼音さんがひとりで家にいたところ家ごと川に流されました。
9日後、翼音さんが見つかったのは輪島から遠く離れた福井県の沖合でした。
祖父・喜三誠志さん:
「これからもずっとじいちゃんばあちゃん助けて手伝ってくれると言ってくれてたんで、それがもう悔しくて」
輪島朝市で漆器店を営んでいて、地震後の出張輪島朝市には翼音さんもよく手伝いに来てくれていました。
祖父・喜三誠志さん:
「世界一の優しい、じいちゃんばあちゃん思いの友達思いのそんな子でしたから、今でも必ず生まれ変わってきてくれると信じてます」
19日、金沢市内で開かれた出張輪島朝市。そこに誠志さんの姿がありました。
祖父・喜三誠志さん:
「これからも一緒なつもりで、頑張っていくという思いで(翼音さんが)一緒にきてると思ってやりますから」
この日は誠志さんにとって豪雨災害後、初めての出店です。店先には翼音さんも一緒です。
この日のためにある特別な商品を用意していました。
祖父・喜三誠志さん:
「初めて描いてた時にそれだけは『これはかわいい、絶対売れるからもっといっぱい作った方がいい。私も頑張って売るからもっといっぱい作って』と言われた」
2羽のフクロウが描かれたコップ。翼音さんがほめてくれた思い出の詰まったコップです。
祖父・喜三誠志さん:
「涙出てくるよね。こんな売れてくれるとね。」
「いつまでも悲しんでばかりいてたんじゃ翼音も喜んでないと思いましたからね。家族みんなで話をして、よしこれから頑張っていこうとそういう風に決めましたんで」
悲しみはいまも決して癒えることはありませんが、残された家族たちは少しずつ歩みを進めつつあります。
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