身近な森の現状や県産材の活用などについて考えるシリーズ「美しき森へ」。金沢市では、育った木をまとめて伐採することで森林の若返りを図る新たな取り組みを始めました。
金沢市三子牛町で行われた「金沢林業大学オープンキャンパス」。
林業の就労を目指す6人が集まりました。
この日、見学したのは「主伐」の現場。
ウッドショックや災害の激甚化など山をとりまく環境が大きく変化しています。
~美しき森へ シフトチェンジ!間伐から主伐へ~
1本1本にナンバリングされた金沢市の市営造林。金沢市三小牛町の4.7ヘクタールの土地には、1966年に植林された約2000本のスギの主伐が進められており、2025年1月頃までに全て伐採する予定です。
金沢市森林再生課主査・杉原 正道 さん
「『主伐』っていうのは収穫する、要するに農作物でいう収穫にあたります。その中でも、ここは全て切る『皆伐(かいばつ)』」
木の成長を促すため、密集しないよう間引いて環境保全も促す間伐は一般的に知られるところですが、木を収穫する目的で行うのが主伐。今回の皆伐は一定の区間の木を全てバッサリ切ってしまう事を指します。
金沢市森林再生課主査・杉原 正道 さん
「切っただけじゃなくて、しっかりと再造林。森林を若返らせる形をしていこうと思っています」
金沢市はこれまで、間伐して残した木を80年かけて育て伐採を行ってきましたが、現在、主伐している市営造林は約60年。「切って、使って、植えて、育てる」というサイクルをこれまでよりも早めることで、森林の若返りを計り、二酸化炭素の吸収の向上に貢献できると考えられます。
そんな主伐をスムーズに行うため、ひと役買っているのが高性能林業機械「ハーベスタ」です。
従来チェンソーで行っていた木の切り倒しや同じ長さの丸太への切断、そして枝払いや集積までこなし、作業の効率化や身体への負担の軽減等、人手不足に悩む林業の強い味方になっています。
そして、主伐のハードルを下げた画期的な技術が…
金沢市森林再生課主査・杉原 正道 さん
「レーザー計測することで地形がこういう風に分かるようになりました。で、色が何かって言いますと白い所が平らな所、だんだん赤くなってくと傾斜がきつくなっていきます」
地上の建物や植物・地面などの位置と高さを計測できる航空レーザーで山を可視化できるように・・
金沢市森林再生課主査・杉原 正道 さん
「白く平らになっている所は道路であったり搬出路、重機が走れるようなそういう道を昔つけたっていうのもこれでは見えるようになります。災害のリスクが低い所で、且つ林業経営がし易い様な、道路から近く傾斜が緩やかな所に関しましては主伐再造林っていう方針にしていくと」
技術の進歩に加え、木材高騰で国産材の安定供給を求める声も強まり、林業に追い風が吹いています。
オープンキャンパス参加者は:
「こんなに大きい木をこういう機械で効率よく切ってるんだとか、実際見ないと分からないことがあるなと思いました」
「金沢市の地域おこし協力隊で今年の4月に東京から移住したばかりでして。そうですね、私は林(業)大(学校)入ることありきで、こっち来てます」
金沢市森林再生課主査・杉原 正道 さん
「とりあえず今、(主伐が)始まったばっかりなので今から、もっと材を出していって、今後、材がもっと流通して皆で使えるような形で木の文化都市(金沢)に貢献出来ればっていうのも思っております」
主伐がふるさとの森を守る一助にも繋がることに期待が寄せられています。
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