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組み込みや持ち運びに軸足 小型、省電力の光源エンジンの強み生かす

週刊BCN+ 2021年2月4日 17時5分

 カシオ計算機はプロジェクター事業の新しい方向性を打ち出した。強みとする光源の小型化・省電力を生かして「組み込み用途」と「持ち運び可能な小型プロジェクター製品」の2本の柱でテコ入れを図る。組み込み用途では、投影式のAR(拡張現実)や、現場作業での手順書の投影、立体計測といった装置を開発するメーカーにカシオ計算機が独自に開発した光源エンジンを組み込んでもらう。自社の完成品としては明るさ2000ルーメン級で世界最小、最軽量の小型プロジェクターの開発を急ぐ。

 一般オフィスや学校など汎用的に使われるプロジェクター光源は2000~4000ルーメンの明るさが主流で、カシオ計算機もこの領域でビジネスを展開してきた。だが、汎用的なプロジェクター市場は、大小10社余りがシェアを競う過当競争の状態で利幅も限られる。そこでカシオ計算機では、小型・省電力の光源開発の強みを生かせる市場へと、来年度(2022年3月期)から本格的に軸足を移す。

 カシオ計算機の光源エンジンは、レーザー光とLEDを組み合わせたハイブリッド式で、レーザー光の明るさとLEDの小型・省電力の利点を持ち合わせているのが特徴。LEDの光量不足をレーザーで補いつつ、LEDと組み合わせることでレーザーの発熱問題も軽減する。これによって「密閉度が高く、防塵性がよい光源エンジンの開発が可能になる」と、古川亮一・プロジェクション戦略部部長は話す。

 発熱を少なく抑えることで光源部分を密閉構造にして防塵性を高めた製品は、工場や倉庫など現場作業での投影用途で重宝される。また、作業手順を投影するときに求められる投影面積は、1人分の作業スペースとほぼ同じ60インチ程度とされ、「当社の光源方式と最も相性がいい」(古川部長)。こうしたこともあり、まずは外部の装置メーカー向けの組み込み市場に優先順位を置きつつ、並行して持ち運び可能な小型軽量で、消費電力あたりの明るさが従来比で2倍のプロジェクター製品を投入し、シェアを伸ばしていく。(安藤章司)

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