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ジェイズ・コミュニケーション Wi-Fiの通信状況を可視化しUXを向上 「Mist」のマネージドサービスをリリース

週刊BCN+ 2021年6月24日 9時0分

 ジェイズ・コミュニケーションはAI搭載のクラウド管理型無線LAN 「Mist」を採用したマネージドWi-Fiサービス「Robo Wi-Fi」をリリースした。Mistによりユーザー側のWi-Fi環境を可視化し、トラブルの原因を早期に特定・対応することでUX(ユーザーエクスペリエンス)の向上が図れるという。新型コロナ禍によりオフィスを縮小・再構築する動きが加速しており、同社はこれに伴う通信環境のアップデートニーズが高まると見ている。直販ではなくリセラー経由で販売するほかOEMでも提供し、スピーディーな事業拡大を目指す。

●AIを活用し障害の事前検知や自動修復も



 Robo Wi-Fiは最新規格のWi-Fi6に対応し、100人まで同時接続ができる。設定は自動化されており、ユーザーはアクセスポイントにLANケーブルを挿すだけですぐに利用できるという。

 同社マーケティング戦略本部マーケティング推進部プロダクトスペシャリストの正木亮氏は「マネージド型Wi-Fiサービスの基本機能はもちろん備えているが、それだけで他社サービスと差別化できるわけではない。Robo Wi-Fiの強みはMistによる管理の効率化・自動化だ」と話す。

 Mistは2014年に米ミストシステムズ(19年にジュニパーネットワークス傘下)が開発したクラウド管理型無線LAN。ユーザーのWi-Fi接続状況を可視化できることが特徴だ。具体的には、Wi-Fiの電波状況や通信経路のイベントなど150以上のデータを1秒ごとにクラウドに送り、AIが分析する。分析結果は「スループット」や「接続までに要した時間」など7項目に分類され、専用の管理画面に反映される。ユーザーのWi-Fi環境で問題が起こった際に原因を素早く特定して対策を施せるほか、正常な通信状態を学習することで障害の事前検知や自動修復も可能になるとしている。

 また、「4秒以内に接続し、40Mbps以上の速度で通信できる」といった品質を満たせない場合に通知することもできるという。

 正木氏は「Wi-Fiに対する不満の多くは、システムとユーザーの体感のミスマッチによるもの。ユーザー側に、つながらない、通信が途切れるなどのトラブルが生じていても、システム側で確認できるログは正常というケースが多い。Wi-Fiの帯域は共有リソースのため、他のデバイスからの干渉を受けて通信が不安定になることもある。

 しかし、ユーザーはこうした通信環境の詳細まで把握できているわけではないため、結果としてモヤモヤを抱えたままWi-Fiを利用している。Mistはユーザーの体感を可視化することでサービスの品質を正しく評価できるため、UX向上につなげやすくなる」と説明する。

 このほか、Mistではアクセスポイントを起点とした位置情報機能なども搭載されている。位置情報機能を活用することで、社員の出社状況を把握できることに加え、例えば新型コロナウイルスの感染者が出た際に、記録をたどることで濃厚接触者を割り出すことができる。これらの機能は、今後、Robo Wi-Fiでのオプション提供も検討する。


●パートナー開拓に注力し導入拡大を目指す



 クラウド型Wi-Fiは近年、需要が拡大しており、シスコシステムズの「Cisco Meraki」やヒューレット・パッカードエンタープライズの「Aruba Central」などMistの競合も好調だ。ジェイズ・コミュニケーションは「Mistを単体で販売するのに比べ、導入から運用までをパッケージとしたマネージドサービスで提供するほうが、より多くのユーザーに利用してもらえる」(正木氏)として、Robo Wi-Fiの競争力に自信を見せる。

 価格は1台月額2980円で最低契約期間は3年。「多くのマネージドWi-Fiサービスは2年契約だが、3年契約にすることで月額費用を抑えた。機器も最新のモデルを提供するため、3年間問題なく使用できる」と正木氏は強調する。

 今後はパートナー経由の間接販売とOEM提供によりスピーディーな顧客基盤拡大を目指す。運用や保守はジェイズ・コミュニケーションが担当し、パートナーはサービス販売に注力できるという。6月14日現在ではアクシス、Tooの2社とパートナー契約を結んでいる。

 OEM提供については、SIerが既存顧客のネットワーク環境をアップデートする提案などにフィットすると見ている。「MistはDHCPなど有線の問題も可視化できるが、その先の対応は顧客の情報システムの運用や保守などを手掛けているSIerの役割で、Robo Wi-Fiのサポートでは対応できない」(正木氏)として、SIerの独自サービスにRobo Wi-Fiを組み込んでもらう提供モデルも定着させたい考えだ。

 同社は新規パートナー向けのセミナーを開催するなど、パートナーの拡充を進めている。正木氏は「リセラーにとっては手離れもよく、競争力もある、提案しやすい商材となっている。リモートワークの増加により、オフィスの縮小や移転が増えており、Wi-Fi環境を刷新したいという需要も大きい。パートナーと協力して導入を促進していく」と抱負を述べた。(岩田晃久)

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