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ドキュサイン・ジャパン パートナーとの協業で市場開拓加速

週刊BCN+ 2021年7月1日 16時0分

 SaaS型電子署名サービスを展開する米ドキュサインの日本法人、ドキュサイン・ジャパンは、国内市場の開拓に向け、パートナーとの協業に注力している。350を超える他社システムとの連携を強みに、「紙とはんこの電子化」にとどまらず、業務プロセス全体の効率化に貢献する姿勢を示す。日本市場では先行する競合ベンダーを追いかける立場だが、立山東(あきら)・カントリーマネージャーは「(国内市場は)パイを奪い合うほど成熟していない。競合とともに市場を盛り上げたい」と意欲をみせる。

 ドキュサイン・ジャパンの設立は15年、日本語サービスの開始は17年と歴史が浅い。国内での知名度アップが課題となっている中、コロナ禍によるリモートワーク拡大を背景に存在感は着実に高まっている。国内売上高などの数値は公表していないが、顧客のアフターサービスなどを手掛けるカスタマーサクセス部門の人員は、2020年度期初(20年2月)からのおよそ1年間で倍以上に増員。立山カントリーマネージャーは「1年前とは違うレベルで認知度もユーザー数も高まっている」と手応えを語る。

 ユーザー企業のニーズは紙やはんこの電子化だけではなく、契約や管理、人事、調達など幅広い業務の効率化に広がっている。このニーズに応えるため、パートナー企業との協業が欠かせないとする。自社で販路を広げるよりも、業界動向や顧客企業をよく知るパートナーの力を借りたほうが効果的にアプローチできるとみるからだ。ドキュサインの導入には業務システムとの連携が不可欠であり、パートナー側もインテグレーションビジネスにつなげられるメリットがある。

 パートナーは21年3月時点で1次代理店10社、2次代理店26社が参画する。エコシステムの拡大について立山カントリーマネージャーは「増やしたいのは間違いない」としながらも「(現状の)36社のパートナーが『ドキュサインを扱ってよかった』という状況にしたい。ただ増やしても意味がない」と話す。まずは、ドキュサインの販売によって、パートナーが自社ビジネスを盛り上げられる環境づくりに力を入れる考えだ。実際、パートナーの案件にドキュサイン側のハイタッチチームが参加したり、パートナーとセミナーを開催し、見込み顧客をつないだりなどの取り組みを行っている。

 矢野経済研究所が20年11月に公表した調査結果によると、電子契約サービスの国内市場は24年に264億円に達すると予測し、19年の68億円から4倍近くにまで拡大する見込みだ。成長市場の取り込みに向け、ドキュサインはローカリゼーションを推進していくほか、定着化活動も重視する。ただ、他社との競争については「そこには時間を使いたくない。強みはそれぞれにあり、それぞれのやり方で市場を盛り上げないといけない」とし、市場の発展には各社の努力が欠かせないとの見方を示した。(藤岡堯)

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