Infoseek 楽天

OKIエンジニアリング、EV用パワー半導体向け「劣化・寿命連続モニタリング試験サービス」開始

週刊BCN+ 2021年7月27日 16時30分

 OKIエンジニアリングは、電気自動車(EV)用の電源装置などに搭載され、安全性・信頼性確保のために高い精度で寿命予測が求められるパワー半導体を対象にした「劣化・寿命連続モニタリング試験サービス」を7月27日に開始した。

 新サービスは、独自に構築した全自動ログシステムによって「高温逆バイアス試験」時の劣化・故障を常時モニタリングすることで、寿命予測精度を大きく向上させるとともに、ワイドギャップパワー半導体への対応も可能とした。パワー半導体メーカー、高品質なパワー半導体を自社製品に採用したい装置メーカーを顧客としてサービスを提供する。

 パワー半導体の中でも特にシリコンカーバイド(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などを使用したワイドギャップパワー半導体は、従来のシリコン(Si)パワー半導体よりも高電圧・高温・高速動作が可能。高出力省エネ電源用として電気自動車、産業機器、鉄道車両、一般家電分野などで採用が進んでおり、安全性・信頼性確保のための寿命予測の精度向上ニーズが高まっている。

 寿命予測は「高温逆バイアス試験」で行われるが、従来は試験回路基板に複数のパワー半導体を搭載し、所定の時間ごとに試験を中断して、冷却後に専用テスターで電気的特性を測定して特性劣化や故障を判定していた。しかし、この方法では所定の時間内に劣化・故障の発生した個数が分かっても、個体別の劣化経過や故障時刻を正確に把握できず、精度の高い寿命予測が困難だった。

 今回の新サービスでは、「高温逆バイアス試験」とデータロガー、試験回路基板、故障検出装置(リーク電流測定器)を接続した独自開発の「全自動ログシステム」を組み合わせることによって、個体別に劣化経過と故障発生の常時モニタリングを可能とした。1000Vまでの電圧源に対応しており、ワイドギャップパワー半導体の試験も可能となっている。

 また、適用温度に耐えられる試験回路基板や試験対象のパワー半導体の特性にあった故障検出装置を設計・自作し、複数のパワー半導体のうちの1個が故障しても残りの半導体の試験に影響を与えない保護回路も付加した。これにより、所定の時間ごとに試験を中断する必要がなくなり、試験期間全体を18%短縮する効果もあげている。

 価格は個別見積もり。同社では、年間5000万円の販売を目標としている。

この記事の関連ニュース