全国高等専門学校連合会は10月9日・10日の2日間にわたり、第32回全国高等専門学校プログラミングコンテスト(高専プロコン)を開催した。今回の主管校は秋田工業高等専門学校。当初、秋田駅にほど近い「秋田アトリオン音楽ホール」などで開催する予定だったが、コロナ禍によりオンラインで実施。同じくオンラインで開催した昨年は競技部門が実施できなかったが、今回は課題部門、自由部門と併せ全3部門でのフル開催にこぎつけた。2日間にわたる熱戦の末、競技部門は弓削商船高等専門学校が優勝。課題部門は鳥羽商船高等専門学校、自由部門は大島商船高等専門学校がそれぞれ最優秀賞に輝いた。
オンラインで各地を結んで初めて実施した競技部門。今回のテーマは「技術廻戦」。格子状にバラバラに分解された課題画像を、一定のルールに基づいて元に戻すという競技。それぞれの断片を回転させたり移動させたりして元画像に戻す。できるだけ少ない工数で画像を復元させたチームが勝利する。モンゴルからのエントリーも含め全48チームが参戦。1回戦、敗者復活戦、準決勝、決勝と競技を進め雌雄を決した。優勝は弓削商船のチーム「迅速果断」(三島佑介さん、井上裕太さん、甲賀悠一郎さん)が勝ち取った。
弓削商船のチーム「迅速果断」は、1回戦、準決勝とダントツの速さで画像を復元、いずれも1位で通過した。決勝戦では接戦を制した。アルゴリズムは、原画像の復元と断片画像並び替えの2パートで構成。隣接する部分の類似度を判断し復元、ビームサーチと呼ばれるアルゴリズムなども使って並び替えた。準優勝は大阪府立大学工業高等専門学校のチーム「さつたば」(馬崎武雄さん、田村唯さん、稲江航輝さん)が、第3位は久留米工業高等専門学校のチーム「そうだ、結局僕達にはプロコンしか」(稲田雄大さん、樋口陽介さん、二又康輔さん)がそれぞれ獲得した。
「楽しく学び合える!」がテーマの課題部門では34作品が応募。海外作品を加え書類選考などを経て15作品が本選に進出した。最優秀賞に輝いたのは鳥羽商船の「学魚養食-遠隔で養殖について学び、地域産業を体験し理解する-」(木下涼太さん、濱口宝さん、正住将太さん、姫子松寛大さん、小山飛翔さん)。学魚養食は、小中学生に養殖業のおもしろさを伝えながら、生産の手伝いも体験できるアプリ。養殖が体験できる児童・生徒用アプリに加え、生産者用アプリも用意。養殖の疑似体験ができるだけでなく、実際の養殖業にも役立つ機能を備えた。漁業関係者の協力も得て開発したという。
自由部門の応募総数は54作品。海外作品を加え書類選考などを経て17作品が本選に進出した。最優秀賞に輝いたのは大島商船の「Smart Gathering-未来の農業はもっと賢く-」(山田竜輝さん、オック・オドムさん、岡村一矢さん、田口創さん、初崎雛希さん)。農業に携わる人の高齢化や人手不足などを解決する手段の一つとしてスマート農業が求められる中、AIロボットを活用した農作物の収穫システムを開発した。本作品では特に「キクラゲ」に着目。夜間、ロボットがキクラゲの育成状況を撮影。それをもとに、VRシステムを使って、日中に離れた場所から収穫に適したキクラゲを指定。夜間、ロボットが自動収穫するというもの。キクラゲ農家のアドバイスも得て開発した。
閉会式で、審査委員長を務めた北陸先端科学技術大学院大学の松澤照男 名誉教授は「コロナ禍にもかかわらず、3部門ともオンラインながら開催できた。関係者の献身的な努力も実り、一定レベルのプロコンが維持できた点では大変有意義な大会だった。作品部門では、今日的な課題や社会の動きに関心をもって、役に立つソフトを開発したいという熱意を感じた。開発では、システムの基本的な考え方を最初の段階からユーザーも巻き込んで十分議論して取り組んでほしい。また、メインの技術は何なのか、開発のための課題は何なのかをしっかり把握し、オリジナリティをどこに求めるかを明確にしてほしい」と激励した。
なお、今回、競技部門、課題部門、自由部門で優勝した3チームは、来年1月に開催される表彰式で、BCN ITジュニア賞も受賞する。33回目を数える次回の高専プロコンは、10月15日・16日の両日、群馬工業高等専門学校を主管校に高崎市のGメッセ群馬で開く。通常の形での開催を目指し準備を進めている。課題部門のテーマは、「オンラインで生み出す新しい楽しみ」。(BCN・道越一郎)
オンラインで各地を結んで初めて実施した競技部門。今回のテーマは「技術廻戦」。格子状にバラバラに分解された課題画像を、一定のルールに基づいて元に戻すという競技。それぞれの断片を回転させたり移動させたりして元画像に戻す。できるだけ少ない工数で画像を復元させたチームが勝利する。モンゴルからのエントリーも含め全48チームが参戦。1回戦、敗者復活戦、準決勝、決勝と競技を進め雌雄を決した。優勝は弓削商船のチーム「迅速果断」(三島佑介さん、井上裕太さん、甲賀悠一郎さん)が勝ち取った。
弓削商船のチーム「迅速果断」は、1回戦、準決勝とダントツの速さで画像を復元、いずれも1位で通過した。決勝戦では接戦を制した。アルゴリズムは、原画像の復元と断片画像並び替えの2パートで構成。隣接する部分の類似度を判断し復元、ビームサーチと呼ばれるアルゴリズムなども使って並び替えた。準優勝は大阪府立大学工業高等専門学校のチーム「さつたば」(馬崎武雄さん、田村唯さん、稲江航輝さん)が、第3位は久留米工業高等専門学校のチーム「そうだ、結局僕達にはプロコンしか」(稲田雄大さん、樋口陽介さん、二又康輔さん)がそれぞれ獲得した。
「楽しく学び合える!」がテーマの課題部門では34作品が応募。海外作品を加え書類選考などを経て15作品が本選に進出した。最優秀賞に輝いたのは鳥羽商船の「学魚養食-遠隔で養殖について学び、地域産業を体験し理解する-」(木下涼太さん、濱口宝さん、正住将太さん、姫子松寛大さん、小山飛翔さん)。学魚養食は、小中学生に養殖業のおもしろさを伝えながら、生産の手伝いも体験できるアプリ。養殖が体験できる児童・生徒用アプリに加え、生産者用アプリも用意。養殖の疑似体験ができるだけでなく、実際の養殖業にも役立つ機能を備えた。漁業関係者の協力も得て開発したという。
自由部門の応募総数は54作品。海外作品を加え書類選考などを経て17作品が本選に進出した。最優秀賞に輝いたのは大島商船の「Smart Gathering-未来の農業はもっと賢く-」(山田竜輝さん、オック・オドムさん、岡村一矢さん、田口創さん、初崎雛希さん)。農業に携わる人の高齢化や人手不足などを解決する手段の一つとしてスマート農業が求められる中、AIロボットを活用した農作物の収穫システムを開発した。本作品では特に「キクラゲ」に着目。夜間、ロボットがキクラゲの育成状況を撮影。それをもとに、VRシステムを使って、日中に離れた場所から収穫に適したキクラゲを指定。夜間、ロボットが自動収穫するというもの。キクラゲ農家のアドバイスも得て開発した。
閉会式で、審査委員長を務めた北陸先端科学技術大学院大学の松澤照男 名誉教授は「コロナ禍にもかかわらず、3部門ともオンラインながら開催できた。関係者の献身的な努力も実り、一定レベルのプロコンが維持できた点では大変有意義な大会だった。作品部門では、今日的な課題や社会の動きに関心をもって、役に立つソフトを開発したいという熱意を感じた。開発では、システムの基本的な考え方を最初の段階からユーザーも巻き込んで十分議論して取り組んでほしい。また、メインの技術は何なのか、開発のための課題は何なのかをしっかり把握し、オリジナリティをどこに求めるかを明確にしてほしい」と激励した。
なお、今回、競技部門、課題部門、自由部門で優勝した3チームは、来年1月に開催される表彰式で、BCN ITジュニア賞も受賞する。33回目を数える次回の高専プロコンは、10月15日・16日の両日、群馬工業高等専門学校を主管校に高崎市のGメッセ群馬で開く。通常の形での開催を目指し準備を進めている。課題部門のテーマは、「オンラインで生み出す新しい楽しみ」。(BCN・道越一郎)