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三井住友銀行や日本IBMなど3社、気候変動リスク・機会の分析サービス提供へ

週刊BCN+ 2021年12月9日 16時30分

 三井住友銀行、米The Climate Service(TCS)、日本IBMは12月9日、顧客向けに気候変動に伴うリスク・機会分析を支援するサービスの提供を共同で進めていくことを目的とした覚書を取り交わしたと発表した。

 TCSは、気候変動関連の国際的な開示の枠組みを提示する気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)報告書のフレームワークに沿ったリスク・機会の分析と財務影響を定量化するサービス「Climanomics platform」を提供している。今年8月に三井住友銀行と日本IBMは、国内で22年春からプライム市場への移行を目指している顧客を中心に、同サービスを用いた実証実験を行った。

 その結果、気候変動に伴うリスクの分析に対して一定の評価を得たことから、22年明け以降にサービス提供を行うことについて、本格的な検討を開始する。

 現在、気候変動に関する情報開示に向けた動きがグローバルで加速している。TCFDでは、脱炭素に向けた行動計画などの開示を企業に求める指針を出している。また、6月のコーポレートガバナンスコード改定により、国内の一部の上場企業に対して実質的にTCFDに沿った情報開示が要請されるようになった。

 一方で、TCFDで求められるリスク・機会の分析や財務影響の定量化には、大量のデータ収集、定量化方法の検討など、専門性の高い業務知識と高いITスキルが必要となることからデジタルの活用は不可欠で、Climanomics platformはそうした課題を解決するソリューションになるとしている。

 Climanomics platformはTCFDに準拠しており、IPCC科学者を含むチームのもと1000以上の独自の計量経済学的関数を用いて、テラバイト級の気候科学データと個々の企業の資産データを融合し、最大80年にわたり複数の気候シナリオを網羅する分析を提供する。このプラットフォームは、猛暑、干ばつ、山火事、沿岸・河川洪水、熱帯低気圧、水ストレスなどの物理的リスクを評価することができ、データをシンプルに可視化することで、財務定量化された気候リスクの場所、リスクの強度、時期などを把握することができる。

 また、こうした分析内容や引用データなどはクラウドサービスにより画面上で確認が可能。移行リスクや機会の分析は、計量化モデルの標準的手法が確立されていない中であり、TCSの有する科学的アプローチにより財務影響の定量化に対応するとともに高度化にも取り組んでいる。

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