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クラウドフレアのセキュリティ対策 クラスメソッドとの関係強化で販路を拡大

週刊BCN+ 2023年3月30日 9時0分

 週刊BCN主催のオンラインセミナー「求められる多様性と働き方の業務改革!企業の『安全・安心』をどう守る?~日本のサイバーセキュリティを強化する、クラウドフレアのテクノロジーと市場戦略~」が3月9日に開かれ、クラウドフレア・ジャパンが提供するセキュリティ対策を説明した。販売戦略としては、ディストリビューターであるクラスメソッドとの関係を強化し、販路の拡大に注力していくとした。
(取材・文/大畑直悠)

●グローバルネットワークを活用したセキュリティを提供



 冒頭で登壇したクラウドフレア・ジャパンの佐藤知成社長は、同社が強みとするCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)に加え、セキュリティ製品の拡販にも注力する考えを示した上で「ネットワークの高速化だけではなく、安全・安心も提供できる」と強調した。佐藤社長は、国内市場でセキュリティ製品の引き合いが増加しているとし、日本航空でのメールセキュリティソリューション「Area 1」の活用事例を紹介。「日本語のフィッシングメールやビジネスメール詐欺の検知でも高い効果を上げている」とアピールした。

 次に、米Cloudflareのジェン・テイラー・CPO(最高プロダクト責任者)が登壇し、企業が抱えるセキュリティ対策の課題を紹介した。テイラーCPOは「サイバー攻撃の手法は高度化しており、ランサムウェア攻撃による被害も依然として増加傾向にある」と指摘。一方で、「多数のアプリケーションを用いる中で業務環境は複雑化しており、企業のセキュリティ対策は難しくなっている」と話した。その上で、「Cloudflareはイノベーションを進めており、一気通貫で顧客の事業環境を守れるようにポートフォリオを拡充している」と語った。

 続いて登壇したクラウドフレア・ジャパンの亀田治伸・エバンジェリストは、同社が提供するセキュリティ対策の仕組みについて講演した。クラウドフレアは世界285都市以上にエッジのデータセンターを開設しており、容量192Tbpsのグローバルネットワーク網を構築している。亀田エバンジェリストは「どこかの巨大なデータセンターに依存するようなサービスのつくりではなく、全てのデータセンターが等しい機能を持つようにしている」と語り、国内でも4都市10拠点のデータセンターで顧客のネットワークを保護していると説明。DDoS攻撃対策やBot対策、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)、ゼロトラストソリューションなどを提供するほか、顧客側での障害発生時には適切なサーバーに通信をルーティングするグローバルロードバランサーなどを提供していると紹介した。

 加えて、亀田エバンジェリストは同社が提供するセキュリティ対策の強みとして、グローバルで400万人以上の無償ユーザーを含む、多数の顧客からフィードバックを得ることができるとした。「グローバルから日々寄せられる膨大なデータを分析することで攻撃の予兆を解析し、それをもとにシグネチャーのアップデートなどを行い、エッジのデータセンターに反映している。これによりゼロデイ攻撃にも強いセキュリティ対策を提供できるようになっている」と話した。


●地方への販路開拓に注力



 セミナーの後半では、クラウドフレア・ジャパンの石川武典・Head of Partner Salesと、国内唯一のCloudflareディストリビューターであるクラスメソッドからアライアンス統括部の鵜澤聡氏が登壇し、両社のパートナーシップについて説明した。

 クラスメソッドは新型コロナ禍において、自治体や医療機関向けに、ワクチン接種予約サイト訪問者の待機順を管理するオンライン待合室「Cloudflare Waiting Room」の無償提供などを通じて、クラウドフレア・ジャパンとの関係を深め、2022年3月に戦略的協業を開始した。セキュリティ対策やアクセス集中対策を必要とする、全国の自治体や公共性の高い団体を中心にクラウドフレア製品の提案を進めている。

 鵜澤氏は「クラウドフレア製品は、巨大なグローバルネットワークと、高速なCDNがあることが、売りやすさにつながっている。WAFなどのセキュリティ製品を使ってもネットワークが遅くならないことがポイントだ」と話し、セキュリティ対策と高い作業効率を両立させられることが競合優位性になっていると解説した。

 今後の販売戦略として、鵜澤氏は「国内100社のパートナー獲得を目指す」と意気込み、「クラスメソッドだけではアプローチしきれない顧客が数多くいる。パートナーとともにビジネスを大きくしていきたい」と話した。パートナーに向けた支援策としては、クラウドフレア・ジャパンと連携したマーケテイング、営業の同席のほか、パートナー向けに独自のパッケージングを検討する。

 また、鵜澤氏は全国のパートナーを獲得していく考えを示した。クラウドフレア・ジャパンの石川氏は、「当社は現在、地域のカバレッジを上げていくことを重点施策としている」と応じ、クラスメソッドとのパートナーシップを強化することで、販路の拡大につなげる姿勢を見せた。

 そのほか、石川氏はクラウドフレア・ジャパンのパートナー戦略として、エンドユーザーの業種や業態、企業規模ごとに強みを持つ販売パートナーを獲得していく考えを示した。「クラウドフレアはCDNなどのネットワークソリューションやゼロトラストソリューション、開発者向けのソリューションといった、幅広いソリューションを提供している。パートナーが提供しているサービスと柔軟に組み合わせて、一緒に顧客の課題を解決していきたい」と話した。

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