【米シカゴ発】米Nutanix(ニュータニックス)は5月9、10日(米国時間)の2日間にわたり、年次カンファレンスの「.NEXT 2023」を米シカゴで開催した。リアル会場での開催は3年ぶりで、同社の顧客やパートナーなど約2600人が参加した。2020年12月の就任以来初の.NEXT登壇となったラジブ・ラマスワミCEOは、マルチクラウド推進に向けた新たな戦略として、PaaS領域への進出を発表した。
(取材・文/五味明子)
今回のテーマは「Run everywhere. It's simply what we do.」で、普及とともに複雑化が進行しているハイブリッド/マルチクラウドの世界をシームレスかつシンプル化させるという、ここ数年ニュータニックスが提唱してきたミッションを具現化するための発表や展示が目立った。9日に行われたオープニング基調講演では、新しい機能や製品に関する三つの重要な発表があった。
一つめは「Nutanix Data Services for Kubernetes」。同社が提供するハイパーコンバージドインフラ「Nutanix Cloud Platform(NCP)」の一機能として提供され、オンプレミスやパブリッククラウド、エッジなど複数の環境を横断してクラウドネイティブなKubernetesアプリケーションとデータを管理する。この機能により、NCPユーザーはストレージのプロビジョニングやスナップショット、ディザスタリカバリ(災害復旧)などのオペレーションを、インフラのみならずKubernetesアプリケーションにも拡張することができ、Kubernetesアプリケーションの開発の迅速なサポートが可能になる。
二つめは「Nutanix Central」だ。単一のダッシュボード上から、マルチクラウド環境における複数のプラットフォーム(パブリッククラウド、オンプレミス、エッジなど)に存在する大量のアプリケーションやデータの一元的な運用を実現するクラウド型の管理ソリューション。「Nutanix Cloud Infrastructure(NCI)」のライセンスの一環として提供される。複数のパブリッククラウドや、複数の拠点で運用されているホスト型データセンター、あるいは小売業が展開する多数の店舗や倉庫といったエッジ拠点など、複数の環境で膨大なアプリケーションを運用するユーザーに対し、統合されたセキュリティ/ガバナンスモデルを展開しやすくする。
最後はProject Beaconである。ニュータニックスが今後数年かけて取り組むPaaSレベルのビジョンで、アプリケーションやデータをインフラから分離し、開発者が一度構築したアプリケーションを、あらゆる環境でネイティブに実行できる“Run everywhere”な運用を目指すプロジェクトだ。
第1段階としてアプリケーションの根幹を支えるデータベースに着手し、NCIで提供している「Nutanix Database Service(NDB)」のデータベース管理の自動化機能を、パブリッククラウドのマネージドサービスとして提供できるようにする。その後は、ストリーミング、キャッシング、検索などへの拡大を予定しており、アプリケーションやデータが特定のインフラにロックインされる必要がないよう、「真にデータセントリックな」PaaSの実現を図っていく。
またオープニング基調講演では、オンプレミスからパブリッククラウド(Microsoft Azure)へのワークロード移行を実施した、スコットランドの公共機関であるForestry and Land ScotlandのIT担当者が登壇した。Nutanix環境をパブリッククラウドに展開できる「Nutanix Cloud Clusters(NC2)」を活用することで、IT人材が不足している公共分野においても、ユーザーエクスペリエンスを損なうことなく容易にハイブリッドクラウド環境を構築できたとし、「Nutanixはわれわれのニーズをすべて満たしてくれた」と高く評価している。
ラマスワミCEOは、「インフラのサイロ化や複雑化が進行してしまったことで、世界中の企業が“アプリケーションのなだれ”の危機に直面している。ニュータニックスは顧客企業に対し、アプリケーションをどのインフラで動かすか、どんなインフラを何のために使うか、それらを選択する自由を提供することにコミットする」と語り、カンファレンスのテーマに掲げた「Run everywhere. It's simply what we do.」を実現するソリューションの提供にフォーカスしていく姿勢をあらためて強調していた。
.NEXT 23の詳報は本紙で近日中に掲載する予定。
(取材・文/五味明子)
今回のテーマは「Run everywhere. It's simply what we do.」で、普及とともに複雑化が進行しているハイブリッド/マルチクラウドの世界をシームレスかつシンプル化させるという、ここ数年ニュータニックスが提唱してきたミッションを具現化するための発表や展示が目立った。9日に行われたオープニング基調講演では、新しい機能や製品に関する三つの重要な発表があった。
●コンテナアプリ開発の迅速なサポートを可能に
一つめは「Nutanix Data Services for Kubernetes」。同社が提供するハイパーコンバージドインフラ「Nutanix Cloud Platform(NCP)」の一機能として提供され、オンプレミスやパブリッククラウド、エッジなど複数の環境を横断してクラウドネイティブなKubernetesアプリケーションとデータを管理する。この機能により、NCPユーザーはストレージのプロビジョニングやスナップショット、ディザスタリカバリ(災害復旧)などのオペレーションを、インフラのみならずKubernetesアプリケーションにも拡張することができ、Kubernetesアプリケーションの開発の迅速なサポートが可能になる。
●セキュリティ/ガバナンスを一元的に制御
二つめは「Nutanix Central」だ。単一のダッシュボード上から、マルチクラウド環境における複数のプラットフォーム(パブリッククラウド、オンプレミス、エッジなど)に存在する大量のアプリケーションやデータの一元的な運用を実現するクラウド型の管理ソリューション。「Nutanix Cloud Infrastructure(NCI)」のライセンスの一環として提供される。複数のパブリッククラウドや、複数の拠点で運用されているホスト型データセンター、あるいは小売業が展開する多数の店舗や倉庫といったエッジ拠点など、複数の環境で膨大なアプリケーションを運用するユーザーに対し、統合されたセキュリティ/ガバナンスモデルを展開しやすくする。
●特定クラウドに縛られない「真のデータセントリック」を
最後はProject Beaconである。ニュータニックスが今後数年かけて取り組むPaaSレベルのビジョンで、アプリケーションやデータをインフラから分離し、開発者が一度構築したアプリケーションを、あらゆる環境でネイティブに実行できる“Run everywhere”な運用を目指すプロジェクトだ。
第1段階としてアプリケーションの根幹を支えるデータベースに着手し、NCIで提供している「Nutanix Database Service(NDB)」のデータベース管理の自動化機能を、パブリッククラウドのマネージドサービスとして提供できるようにする。その後は、ストリーミング、キャッシング、検索などへの拡大を予定しており、アプリケーションやデータが特定のインフラにロックインされる必要がないよう、「真にデータセントリックな」PaaSの実現を図っていく。
またオープニング基調講演では、オンプレミスからパブリッククラウド(Microsoft Azure)へのワークロード移行を実施した、スコットランドの公共機関であるForestry and Land ScotlandのIT担当者が登壇した。Nutanix環境をパブリッククラウドに展開できる「Nutanix Cloud Clusters(NC2)」を活用することで、IT人材が不足している公共分野においても、ユーザーエクスペリエンスを損なうことなく容易にハイブリッドクラウド環境を構築できたとし、「Nutanixはわれわれのニーズをすべて満たしてくれた」と高く評価している。
ラマスワミCEOは、「インフラのサイロ化や複雑化が進行してしまったことで、世界中の企業が“アプリケーションのなだれ”の危機に直面している。ニュータニックスは顧客企業に対し、アプリケーションをどのインフラで動かすか、どんなインフラを何のために使うか、それらを選択する自由を提供することにコミットする」と語り、カンファレンスのテーマに掲げた「Run everywhere. It's simply what we do.」を実現するソリューションの提供にフォーカスしていく姿勢をあらためて強調していた。
.NEXT 23の詳報は本紙で近日中に掲載する予定。