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日立システムズ、森林のCO2吸収量を可視化しカーボンクレジット創出量を算出

週刊BCN+ 2023年9月8日 15時29分

 日立システムズは9月7日、石巻地区森林組合が管轄している森林を対象に、衛星を活用したGHG(温室効果ガス)排出量の測定技術をもつフランスのEverImpactと連携して、森林のCO2吸収量を可視化し、森林計画と組み合わせることで、カーボンクレジット創出量を算出する実証実験を行ったと発表した。

 今回の実証実験では、石巻地区森林組合が管轄する森林のうち、植林や間伐などの施業が進んでいる数千haの森林を対象に、EverImpactと連携し、衛星から得られるデータから気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のシナリオを元にした分析により、過去20年分のCO2吸収量を可視化した。さらに可視化した情報と、森林計画を組み合わせることで、カーボンクレジット創出量の算出を行った。

 同実証実験では、ボランタリークレジット市場で約70%のシェアをもつ米国のNPO(非営利団体)であるVerraが認定する「ボランタリークレジット VCS(Verified Carbon Standard)」を採用した。VCSは世界中で多くのクレジットの創出・売買が行われている。また、衛星などを活用したリモートセンシング(観測)による測定が認められており、大規模で迅速なカーボンクレジットの創出量増加が見込める。

 日立システムズは実証実験を通じて、年間2.25万tのCO2吸収量、最大2.6億円相当のカーボンクレジットの創出可能性を確認した。さらに、可視化した情報は、今後の森林計画に生かすことで、CO2吸収量の向上を支援する。

 同社では今後、今回の実証実験で得られたノウハウや、国内では前例の少ない数千haという広大なエリアで行ったボランタリークレジットの創出ナレッジを活用し、衛星データによるCO2吸収量の可視化からクレジット取引までをトータルで対応可能なサービスを2024年度中に提供する予定。

 これにより、カーボンクレジット創出を計画している自治体や森林組合、企業に対し、全国約300拠点のネットワークを活用して、日本全国への展開を目指すと同時に、面積の多い日本の森林に関する課題解決、林業の活性化ひいては地域活性化、脱炭素化を推進し、地域社会への貢献を目指す。また、日本が認証しているカーボンクレジット制度であるJ-クレジット制度でも衛星活用が認められた際は、J-クレジット創出にも取り組む予定。

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