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AIT、遺伝性乳がん卵巣がん症候群の拾い上げシステムを神奈川県立がんセンターが導入

週刊BCN+ 2023年9月13日 15時44分

 AITは9月12日、神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(神奈川県立がんセンター)遺伝診療科および臨床研究所との共同研究で開発した、AIを活用した遺伝性乳がん卵巣がん症候群の拾い上げシステムが、神奈川県立がんセンターに導入されたと発表した。

 遺伝性乳がん卵巣がん症候群(hereditary breast and ovarian cancer:HBOC)といった遺伝的要素の強いがん(遺伝性腫瘍)の存在が知られるようになり、今後さらに遺伝カウンセリングの需要が増加すると考えられている。一方で、遺伝性腫瘍の疑いのある患者を、十分に拾い上げられていないのが現状。その主な理由の一つには、拾い上げを担当する専門医療職、とくに認定遺伝カウンセラーの不足が挙げられている。

 そこでAITでは、近年急速に発展しているAIを活用して、拾い上げ業務を効率化することを目指すため、独自にシステムを開発した。今回、このシステムの開発が完了し、神奈川県立がんセンターに導入された。

 遺伝性乳がん卵巣がん症候群の拾い上げシステムは、AIの会話機能であるChatbotを活用し、AITが技術支援を行い開発した。インターフェース上で患者が家族歴や病歴に関する質問に答えることで、HBOCを疑う基準に合致するかどうかを評価する。これは、従来遺伝カウセンラーが行っていた業務の一部を代替するもの。AIのシステムを活用することで、遺伝診療の効率化、拾い上げの対応の増加が見込まれ、多くのがん患者やその家族へ遺伝診療が提供できるようになることが期待される。

 今後は、神奈川県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科(SHI)および神奈川県立がんセンターと連携して、システム開発研究を続け、対応できる疾患の拡大、遺伝診療部門のない医療機関への導入を目指していく。

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