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「RevoWorks」のイベントで新製品を紹介 インターネットとクラウドのアクセスを分離

週刊BCN+ 2023年12月21日 9時10分

 ジェイズ・コミュニケーションは12月5日、インターネット分離ソリューション「RevoWorks」に関するイベントを開催した。クラウド上に組織のビジネス資産を蓄積することが一般的になり、境界型防御の限界が鮮明になる中で、同社は、インターネットと、特定のクラウドアプリケーションへのアクセスを分離することで、安全にクラウドを活用できるようにする新製品「RevoWorksクラウド」を紹介した。
(取材・文/大畑直悠)

●文教でも高まるゼロトラスト需要



 基調講演では、国立情報学研究所の鈴木彦文・特任准教授が登壇。「安心・安全な社会を実現するゼロトラストの実現とこれから」と題し、特に専門とする教育機関の動向を例に、ゼロトラストセキュリティを導入する際の留意点を講演した。

 境界型防御の限界が認識される中で普及した「ゼロトラスト」の考え方について、鈴木特任准教授は、インターネットに関わる全ての機器や人を信用しないという考え方を順守する一方で、「利用者にとって使い勝手が良いセキュリティの仕組みを追求することが重要であり、ユーザーの負担を減らすことを目指す必要がある」と説いた。また、「ゼロトラストセキュリティを構成するさまざまなサービスを統合し、一元的に管理できるようにしなければならない」と述べた。

 鈴木特任准教授は現在、教育分野でゼロトラストセキュリティのニーズが高まっているとの認識を示した。GIGAスクール構想以降、小中学校でも児童・生徒が学校内や自宅からインターネット経由で学習コンテンツを利用する機会が増加。そのため児童・生徒でも柔軟かつ安全にインターネットを使えるようにする必要性が高まっており、持ち帰り端末やBYOD、BYAD(学校指定端末)のデバイスに対して、場所に左右されない同一的なサービスを展開する必要があると指摘した。

 大学では、研究のためにさまざまな種類の機材が利用される中で、研究を阻害しないポリシーとアプローチが求められていると説明した。また、機微な情報が含まれる研究データに対する適切なアクセス制御が求められる傾向が顕著になっており、ゼロトラストセキュリティを導入する機運が高まっているという。

 また、教育機関ではコストの縮小が重要視されており、鈴木特任准教授は「ユーザーが求めているのは、必要に応じてリソースを動的に割り当てられること」だと話した。特に入試関連のシステムのように特定のシーズンに応じてトラフィックが増減する場合には、拡張だけではなく、適切に縮小できることも重要になると説明した。

 そのほか、ゼロトラストセキュリティが抱える課題についても紹介。「管理が高度化すると人材確保が困難になり、属人化してしまうリスクがある」と述べた。加えて、クラウドにアクセスし続ける必要性があることから、高速なインターネット回線に依存してしまい、ネットワーク環境によっては作業効率が低下してしまう点も挙げた。


●セキュアな環境と生産性を両立



 イベントの後半ではジェイズ・コミュニケーションがRevoWorksシリーズについて紹介した。同社は12月1日、新たにサブスクリプションで提供するRevoWorksクラウドを追加。3年間で20万ユーザーを目指すという。

 まず、RevoWorks製品戦略開発管掌の中村時彦・取締役が、RevoWorksシリーズについて解説した。同シリーズは画面転送方式の仮想プラウザ「RevoWorks SCVX」や環境分離方式の仮想ブラウザ「RevoWorks Browser」、環境分離式の仮想デスクトップ「RevoWorks Desktop」をそろえる。現在300の自治体で利用されており、50万を超えるユーザーを獲得している。

 中村取締役は、同シリーズを提供する背景を「SaaSの台頭などでエンドポイントセキュリティへの注目が集まる中で、競合の多いEPP(エンドポイント保護製品)やEDRとは違うアプローチを考え、分離に着目した」と説明。その上で、「インターネット分離は特殊なシステム構成だとも思われがちだが、例えば『Microsoft 365』と、UXを追求したセキュアなブラウザがあれば、リモートワークは十分に可能だ」と話し、適切なインターネット分離製品を導入すれば生産性を落とすことなくセキュリティを確保できると訴えた。

 続いてRevoWorksBU 開発部の吉田崇・部長が、新製品のRevoWorksクラウドについて説明した。RevoWorksクラウドは、一般のインターネットアクセスから業務上必要なクラウドアプリケーションへのアクセスを分離する。クラウド、インターネット、ローカルネットワークの三つの接続先ごとにサンドボックスを用意し、それぞれのポリシーに基づいて、許可されたプログラム以外の実行を制御することで、ハイブリッドクラウド環境の安全性を担保するという。

 吉田部長は「現代のビジネスシーンでは、クラウドやビジネスSaaSの活用による業務効率化が不可欠だが、同時にインターネットを介したマルウェアへの感染の危険性が高まっている。そのため、同じブラウザを用いればクラウド上の社内資産が脅威にさらされることになる」とし、こうした課題の解決を狙って開発したと付け加えた。

 イベントではジェイズ・コミュニケーションの愛須康之社長も登壇。RevoWorksクラウドをサブスクリプション型でコストを抑えて提供できる点を生かし、自治体だけではなく医療機関などにもターゲットを拡大させていく考えを示した。

 また、同社の売り上げの90%超がパートナー経由であると紹介。その上で「これまでプリセールスの段階から協力し合うなど、パートナーとの協業を通して事業を拡大させてきた」と語った。引き続き「同じ温度感で課題の解決に取り組む」とし、パートナーを重視する方針を強調した。

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