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日立システムズ、フィデアHDに炭素会計プラットフォームサービスの提供を開始

週刊BCN+ 2024年1月29日 16時12分

 日立システムズは1月29日、フィデアホールディングス(フィデアHD)に、Persefoni AIの炭素会計プラットフォームサービスの提供を開始したと発表した。同サービスを通じて、フィデアグループの投融資先企業に対するファイナンスド・エミッション(金融機関の投融資先のGHG排出量)算定への取り組みを支援する。

 政府は2020年10月、50年までにGHGの排出を実質ゼロにする「2050年カーボンニュートラル宣言」を発表。また、国際サステナビリティ基準審議会は23年6月に「サステナビリティ開示基準」として、「Scope1」「Scope2」に加えてサプライチェーン全体の「Scope3」を含めることを最終確定した。これにより、26年4月までに有価証券報告書へ「Scope1」から「Scope3」を記載することが義務化される見込みとなり、上場企業を中心に炭素会計への早急な対応が求められている。

 金融機関で「Scope3」のCategory15として、自社の炭素排出量の大部分を占めるファイナンスド・エミッションの算定・開示が重要であり、同時に投融資先企業へのエンゲージメント(顧客企業との対話)を高め、排出量削減に向けた支援を強化していく必要がある。フィデアHDは、エンゲージメントを通じた支援に注力するために、土台となるファイナンスド・エミッションの算定効率化・自動化が重要と考え、東北地方のほかの金融機関に先駆けてPersefoni AIの炭素会計プラットフォームの導入を決定した。

 日立システムズは、22年5月にPersefoni AIとリセラー契約を締結し、炭素会計プラットフォームの提供を開始。自社でも炭素会計プラットフォームを利用したバリューチェーン全体での GHG排出量の可視化に取り組んでいる。フィデアHDとは昨年末に契約を締結し、1月15日から稼働を開始した。また、日立システムズは、国際基準のPCAFに準拠したファイナンスド・エミッション算定とするため、国内の産業分類コードからGICSコードへ変換する仕組みを提供するほか、算定後の削減に向けては、日立グループ全体で所有するGHG削減ソリューションを提供している。

 フィデアHDは、政府が主導する「2050年カーボンニュートラル宣言」の実現に向けて、地域のGX(Green Transformation)支援にも注力していたが、人員が限られる地方の金融機関にとって、自社や投融資先の炭素排出量の算定を、いかに効率化するかが大きな課題となっていた。

 日立システムズでは今後、国内のカーボンニュートラル実現に向けて、各地域金融機関への導入を推進していくことで、導入先企業とともに地域のさらなる活性化・脱炭素化を支援。さらに算定分野だけではなく、支援分野の拡大や取引先に対する脱炭素ソリューションのラインアップを広げ、脱炭素化へのトータルサポートを進めていく。

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