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熱湯に手を入れ繭から生糸を作る職人技がSNSで話題「衰退する日本の養蚕農家を守りたい」

よろず~ニュース 2024年7月25日 11時0分

SNSに投稿された、蚕の繭からの伝統的な糸取り動画が話題です。

動画には、お湯の中に入れられた繭から熟練の手さばきで糸を手繰り寄せ、生糸を作る様子が。お湯の温度は80度以上だそうで、時々冷水で手を冷やす場面も。

「糸取りの季節がやってきました。長浜市木之本町大音地区の糸取りが始まっています。桑の新芽を食べた春のお蚕さんが作る繭は一年のうちで一番良質です。この繭を新鮮なうちに生糸にすることを生びき生糸と言います」とこの動画を投稿したのは、滋賀県長浜市で三味線や琵琶など和楽器の絃を製造する丸三ハシモト株式会社。出来た生糸は全て同社が購入し、和楽器糸となるそうです。代表の橋本英宗さんに話を聞いた。

――外国産と国産の違いは?

橋本:和楽器絃のための絹糸は、大量生産の一般的な絹糸とは少し違うんです。新鮮な繭を完全乾燥させずに糸にする生引き製法であったり、昔ながらの器械を使う特殊座繰り製法で作られます。

そもそも海外ではこの製法で生産されることがなく、糸の質感や弾力、ウェーブのかかり具合、強度などに違いがあり、和楽器の弦に適しています。外国産の生糸は糸は均一ですが加工途中に引っ張っているためあまり伸びがないんです。

お客様からも「やはり良い音色がする」「本番用には欠かせない」など、嬉しいお声もいただいています。

――今後の養蚕業界の展望は?

橋本:日本の養蚕農家はもはや風前の灯火であり、原糸の確保が大変難しい状況です。これからは日本の養蚕や製糸も、付加価値を付けていくのが大切。日本でしかできない品質、技術や品種をPRして、世界に挑戦できる生糸を作ることが日本の養蚕農家の維持や発展に繋がるのではないかと思っています。

国産の生糸を大事に使い続けていくことが何よりの応援になると思うので、これからも使い続けていきたいです。

◇ ◇

動画の投稿には「お蚕さまと呼んでいました」「学校で蚕育ててた!」「いのちを頂いているんだから大切にしなければ」などの反響が寄せられました。

かつて日本の主要産業であった養蚕業ですが、和装の減少やナイロンなど化学繊維の発達、農業人口の減少などで衰退。製糸工場も激減しました。ところが昨今、高品質の絹製品の需要が高まりつつあるそう。

弥生時代から続く養蚕が、現代のテクノロジーでどのような発展を遂げるのか。市場の拡大が期待されます。

(よろず~ニュース特約・ゆきほ)

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