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「そんなことも知らない?」PCやスマホに詳しい人がやってしまいがちな「テクノロジーハラスメント」

よろず~ニュース 2024年8月3日 11時0分

スマホのアプリや生成AIなど、昨今のIT関係技術の進歩は凄まじい。使いこなせれば便利で効率アップができるものの、技術革新についていけない人がいるのも事実だ。近年では使いこなしている人が、ついていけない人に心無い言動や態度をとってしまう「テクノロジーハラスメント」(以下、テクハラ)が生じている。

都内のIT企業に勤めるAさんは、日ごろからIT関連に興味を持ち、最新情報をキャッチしては自分で試すことを繰り返していた。効果が感じられれば社内での導入を提案し、業務効率のアップに貢献している。一方でAさんの上司BさんはIT技術については門外漢で、Aさんからの提案を理解するのも一苦労。ついにはAさんから「そんなことも知らないんですか?」と声をかけられてしまう。Aさんは軽い冗談のつもりでも、Bさんはこの言葉に深く傷ついてしまい「これはテクハラだ!」と問題に発展してしまうのだった。

テクハラの具体例としては「最新のIT用語を当たり前のように使用し、理解できない相手を放置する」「新しいアプリやサービスの利用を強要する」「ITスキルの低さを理由に相手を馬鹿にする」などがある。繰り返しテクハラがおこなわれれば、被害者は精神的に追い詰められ、職場環境を悪くしてしまうだろう。最終的には企業の生産性や競争力を低下させてしまうことになりかねない。

特に今の50代、60代の人たちとは異なり、若い世代は子どものころからインターネットやスマホに触れてきている。新しい技術に抵抗感が少なく、積極的に活用していこうとする傾向がみられる。世代間でITスキルや知識に差があるのも仕方がないのかもしれない。

とはいえ、テクハラは放置できない問題だ。テクハラを防ぐためにはどのような対応策があるのだろうか。

そもそもテクハラの加害者は、自身がハラスメント行為をしているとは気付いていないかもしれない。そのため、まずはテクハラの知識を社内に周知することが重要だ。さらに、社内で使用するITツールやサービスに関して教育をおこない、技術や知識のギャップを埋めることも必要だろう。

初心者で簡単に使用できるツールを採用したり、丁寧なマニュアルを用意したり、ITに詳しくない人に優しい環境を作ることも重要だ。

またほかのハラスメントと同様に、対応マニュアルを作成して 周知することも有効。ハラスメント相談窓口を活用するのもいいだろう。テクハラを軽視せず、パワハラやセクハラと同等の問題として捉えることができれば解決はグッと近づくはずだ。

ここまでテクハラについて述べてきたが、実はITが苦手な人が詳しい人を追い詰める「逆テクハラ」も存在する。例えばITの知識が乏しい上司が、詳しい部下に仕事を押し付けたり、わざとアナログな手段を強要したりするといったことがあげられる。こちらはITを題材にしたパワハラとして対処が求められるだろう。

ITやAIの技術の進歩は、今後ますますスピードをあがっていくことが予想される。この進歩の波に我々は上手く乗っていくことが必要だ。ただ技術を追いかけるだけでなく、周囲への配慮を忘れずに、誰もが快適に過ごせる環境作りを進めていこう。

(よろず〜ニュース特約ライター・夢書房)

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