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コンビニのレジ行列でトラブル!並び表示に気づかず「割り込むな」の怒声→恥ずかしくない対応は?識者語る

よろず~ニュース 2024年8月29日 19時30分

 コンビニエンスストアのレジ前で順番待ちをする際、他の客と思わぬトラブルになることもある。例えば、並び方の表示を見落としたことによって「割り込み」と誤解されるケースだ。「大人研究」のパイオニアとして知られるコラムニストの石原壮一郎氏が、困った時の打開策を提言した。

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 【今回のピンチ】

 初めて入ったコンビニでレジに商品を出したら、若い男性に後ろから「ジジイ、割り込むな!」と怒鳴られた。気が付かなかったが、並ぶ位置が決まっていたようだ……。

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 たいていのコンビニでは、レジから少し離れたところの床に、次の人が待つ場所を示す足形などのシールが貼ってあります。ただ、見る角度によっては、誰も並んでないと早とちりしてレジに突撃してしまうことも。急いでお茶だけ買いに入ったような状況で、特にはまりがちな落とし穴です。

 完全に自分が悪いんですが、いきなりジジイ呼ばわりされたら、心穏やかではいられません。ただ、そういう勇ましいタイプに対して、「ジジイとはなんだ!」と返したら、確実に厄介な展開になるでしょう。しかも、己の過ちを棚に上げて「ジジイ」に引っかかっているのは、かなりカッコ悪い態度です。

 恥ずかしさやら怒りやらで感情を複雑にかき乱されている大ピンチ。さらに醜態をさらさすことなく、なるべく無難に乗り越えるにはどうすればいいのか。

 人間は追い詰められると言い訳をしてしまいがちな生き物です。こういう状況でよく目にするのが、間違えた人が、誰に言うともなく「えー、わかりづらいよー」などと呟いて、シールの貼り方に責任を押しつけている光景。「これだと見逃がしちゃう人がいるよ」なんて弁解し続けるパターンもあります。

 気持ちはわかりますが、非常にみっともないので絶対にやめましょう。以前に目撃した例では、割り込みそうになったあとで並び直したおじさんが、レジの順番が回ってきたとき、店員さんに「もっとわかりやすく貼れって、店長に言っといたほうがいいよ」とアドバイス(?)していました。あまりにも往生際が悪すぎます。

 うっかり並ぶ位置を見落としたことは、誰の目にも明らか。若者を含めて並んでいた人たちに「あっ、申し訳ない」と謝って、最後尾に行けば何の問題もありません。必要な場面でとっさに「申し訳ない」と言える人は決して多くないので、それだけで十分に及第点と言っていいでしょう。

 しかし、及第点で満足していては、大人としての欲がなさ過ぎます。ここは、何らかのトッピングを加えたいところ。全体に対して「申し訳ない」と謝るのに加えて、その若者の横を通る瞬間に、片手を軽く上げつつ小声で「ごめんね」と声をかければ、大人の貫禄と器の大きさを示せた気になれそうです。相手がそう受け取るかどうかは別として。

 もし、その若者が自分のすぐ前に並んでいたら、さらなるチャレンジをしてみるチャンス。穏やかな口調を保ちつつ、話しかけるでも独り言でもない中途半端な感じで、「そうか、そうだよな、もうジジイなんだよなあ……」と感慨深げに呟いてみましょう。

 もしかしたら、若者が「いや、ジジイは悪かったよ」と謝ってくれるかも。仮にそうなったら、なんて素敵なんでしょう。可能性は低そうですが、何も起きなくても失うものはありません。人間、どんなときも夢を追い求め続けたいものです。

(コラムニスト・石原 壮一郎)

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