学生時代の思い出は人によってさまざまだが、今でも覚えている人は多いはず。中には「黒歴史」のような、何かに失敗した出来事があってもおかしくないだろう。
そんな失敗と解決を描き、7月31日にX(旧Twitter)にポストされた漫画『友達とおそろいのマスコットを無くしてしまった女の子の話』は、4.3万もの「いいね」を獲得した。同作は漫画家の橋本ライドンさんによる漫画『あなたが私を変えたから』(KADOKAWA)の一部の話だ。真面目で目立たない女子高生「猪島岬」と、明るくてクラスの人気者であるギャル「首藤静」の心温まるエピソードが描かれている。
ある日の放課後、岬はクラスメイトと一緒に購入したキーホルダーのマスコットを失くしたことに気づく。岬が「このままではクラスメイトに嫌われてしまう」と焦る一方で、静は廊下でこのマスコットが落ちていることに気付く。静は親切心から破ったノートに「落し物」と書き、その上にマスコットを置くのだった――。
“テキトーな性格”である静の優しさが垣間見えた場面に、読者からは「素晴らしい行動」「こういう気持ちを忘れないようにしたい」といった反響が寄せられている。そこで作者の橋本さんに、『あなたが私を変えたから』や、『友達とおそろいのマスコットを無くしてしまった女の子の話』について話を聞いた。
―そもそも『あなたが私を変えたから』を描いたきっかけを教えてください。
きっかけはXに投稿した1本の2コマ漫画です。元の漫画は『大事にしかたは人それぞれ』というタイトルで、「おそろいのマスコットを友達がつけていなくて落ち込んでいたけれど、じつは友達は大切なマスコットをなくさないよう玄関に飾っていた」という内容でした。
この話が大きな反響をいただき、私自身もいつかまとまった話を描きたいと考えていたところ、KADOKAWAの編集さんにお声がけをいただいて実現することとなりました。元の漫画から想像を膨らませ、「岬」や「静」の出会いや関係性を考えていくのはとても楽しかったです!
―Xに投稿された『友達とおそろいのマスコットを無くしてしまった女の子の話』の作中で起こったマスコットをなくしてしまう話は、実体験に基づいたお話なのでしょうか?
実体験ではなく、岬と静の性格をもとにできあがったお話です。元の漫画の「大切なものを持ち歩きたい岬に起こりうる災難とその時の心情は? 」や「大切なものはしまっておきたい静が、誰かの大切かもしれない落とし物をどうするか?」 などの想像を巡らせて描きました。
話自体は創作ですが、いつの間にかなくなったキーホルダーや、友達との仲違いの記憶、道に転がって踏まれた跡のあるぬいぐるみや、反対に丁寧に道の端に置き直された落とし物など、実際に見たり感じたりしたことを元に完成しています。
―同作の中で特に思い入れが強い場面はあるでしょうか?
画像全体の5枚目の、おそろいのマスコットをなくした岬が青ざめる場面です。失敗に気がついて、最悪の結末を考えて生きた心地がしなくなる…という私自身だけでなく誰もが少なからず一度は経験しているであろう瞬間を、臨場感をもって描けたと思っています!
―今後の展望や目標をお教えください。
描いた漫画を読んでもらえることが嬉しくて好きなので、より多くの人に読んでもらえるような漫画を描けるようになっていきたいです。短編が多いので、長い漫画にも挑戦したいと思っています。
(よろず〜ニュース特約ライター・夢書房)