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【漫画】完成まで7000時間…祖母の他界から始めた未経験のゲーム制作「生きた証を残したい」作者に聞く

よろず~ニュース 2024年9月5日 11時0分

毎日仕事をして生きていると、忙しさを理由にやりたいことが疎かになってしまうのはよくあることだ。それでもやりたいことを実行できる人は、強い信念があるからこそ成し得ているといえるだろう。

7月31日、X(旧Twitter)に投稿された『会社員しつつ、5年間個人制作した和風ホラーゲームが完成した実録漫画』は、努力を積み重ねてきた作者・日下部一さんの様子が描かれたレポ漫画だ。そのエピソードに感銘を受けた人は多く、7万もの「いいね」が寄せられている。

会社員をしながら個人でゲームを制作した日下部さんは、もともと「ゲーム制作未経験」だった。ゲーム作りを始めたきっかけは、祖母が他界した際に「お婆ちゃんが生きた証を何か残したい」と思ったことで、そこから「趣味程度に絵が描ける」「ドットも少しうてる」「物語を作るのが好き」といった自身の興味関心も踏まえ、ゲーム制作にたどりつくのだった――。

同作を通して、日下部さんの「未経験でもトライし続けることの大切さ」というメッセージを受け取った読者からは、「マジですごすぎる」「社会人で完成まで7000時間って尊敬しかない」など絶賛の声が続出。そこで日下部さんに『会社員しつつ、5年間個人制作した和風ホラーゲームが完成した実録漫画』について詳しく話を聞いた。

―同作を描いたきっかけを教えてください。

ゲーム制作期間が5年間(7000時間)と長期間だったため、やっとたどり着いたゴールを誰かに見て欲しかったんだと思います。それとゲーム制作を始めたきっかけ自体が、ゲームテーマに深く関わってくるので「いつかどこかで話せたら」とずっと考えていました。その想いも、実録漫画を描いたきっかけの1つです。

いざ公開してみると想像以上に広まり、これほどの拡散体験は初めてだったので公開直後の頃はただただ驚き怯えてました…。

―ゲーム制作を未経験から始めて特に大変だったことを教えてください。

なんといっても7000時間という1人での長期間作業そのものですね。私は会社員として働きつつ、退勤後の平日夜、休日を作業時間にあてる生活を5年間続けていました。普段は短期間で一気に作業するタイプなのもあり、長期間の作業はかなり大変でした(笑)。

また私が未経験だったということもあり、作りながら分からないことを調べたり、バグに悩んだり、難易度調整に悩んだり…。それでも5年間続けられたのは「ゲーム制作が楽しい」と感じていたからですね。

―ゲーム制作に興味がある未経験の人へのアドバイスはありますか。

ゲームに限った話ではないですが「鉄は熱いうちに打て」です。事前に勉強して知識を得てからゲーム制作に挑もうとしてる人や、その準備段階で疲れて諦めてしまう人は多いでしょう。そこで私としては「ゲームを作りたい!」と思った時に、知識をつける前にすぐさま作りはじめてみてはどうかと思います。

今はネットにたくさんの知識が書かれているので、分からないところは都度調べつつ進めていく戦法がオススメです。というのも私自身がゲーム制作の知識がゼロの状態で作りはじめたからです。私の中には「ゲームで表現したい!」という情熱しかありませんでした。でもそんな人間でも、時間はかかってしまいましたがゴールすることができました。

それにゲーム制作は、シンプルにとても楽しいです。物語、イラスト、音楽、演出、システムなど、それらを組み合わせてひとつの世界を自分の手で築ける体験はゲームでしか味わえません。しかもその作った世界に誰かが入って遊んでくれて、「面白い」でも「つまらない」でも、何かしらの感情を引き出すことができるのもゲームを作った人だけが味わえる特権です。

ちょっとでもゲーム制作に興味がある人は、ぜひ今すぐチャレンジしてみてほしいです。

―読者にメッセージをお願いいたします。

私が個人制作した新作和風ホラーゲーム「お結び」は、ホラーゲームと銘打っておりますがテーマとしては「後悔してもやり直しはできない」、そして「人と人との縁」というメッセージを目指して作りました。

そのため怖い要素だけではなく、いろいろな想いが詰まったゲームです。それに自分の手で遊んだプレイヤー本人でしか味わえない体験もできるように制作したので、ご縁があれば実際に手に取って遊んでもらえると嬉しいです。またSteamにいただいたレビューは全て読んでいて、とても参考にも活力にもなっています。

嬉しいことにリリースされてすぐ、本作についていろいろなお声がけをいただき始めており、私自身でもいくつかの準備をしています。この作品にまつわる企画はしばらく続くと思いますので、すでにプレイしてくださった人も引き続き見守ってもらえると嬉しいです。ここまで読んでくださって、ありがとうございました!

◇ ◇

筆者も本作を読んで、仕事の合間を縫って趣味に時間をかけ目標を達成する姿に、同じ社会人として尊敬の念を抱いているひとりだ。これから新たに何かを始める際は、日下部さんの勇姿を思い出してみてはいかがだろうか。

(よろず〜ニュース特約ライター・夢書房)

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