2022年にソウルの梨泰院(イテウォン)で発生した雑踏事故で死亡した俳優のイ・ジハンさん(当時24歳)に対して、在学中だった東国大学が名誉卒業証書を授与したと31日、韓国メディアが報じた。
記事によると22日、イ・ジハンさんの家族が同大学で開かれた「2024 秋の学位授与式」に出席し、故人に代わって名誉卒業証書を受け取ったという。ジハンさんは当時、演劇学部に在籍していた。
証書を受け取った後、ジハンさんの実母はイ・ジハンさんのインスタグラムに証書を公開。そして「私たちはジハンの遺影を持って、卒業式に出たくなかった。なぜなら、息子が死んだことを認めたくなかったから」「講堂の中に入ると、卒業生全員が明るい表情で両親と花束を持っていた。その姿が、私たちにはとてもうらやましかった」と、複雑な胸の内を明かしている。
続けて「名誉卒業証書をもらいに行くのは、無駄ではないかという気もした。卒業証書を受け取るジハンがいないのに、そんな紙一枚(卒業証書)が、どれほど重要だろうか」「人生があまりにもむなしくて、全てに意味がなく、胸に火の玉が入っているように息をするのが難しいのに、主人公のいない卒業証書に、どんな意味があるのかというもどかしい思いで、私たち家族は胸の中に大きな穴を一つ持って生きているようだった」と吐露。
そして「ジハンが触れることのできない名誉卒業証書を、ジハンの遺影の前に置いて、お母さん、お父さん、お姉さんは涙を流しながらつぶやく。ジハン、名誉卒業おめでとう」「ジハン、聞こえてる? 見えてる? 愛してるしすごくたくさん会いたいよ」と言葉を結んだ。
イ・ジハンさんは2022年10月29日、150人の犠牲者を出した梨泰院圧死事故で亡くなった一人だ。当時、ハロウィーンイベントのために同所を訪れ、被害に遭っている。
故人は2017年に「PRODUCE101 シーズン2」に参加。その後、2019年にウェブドラマ「今日もナムヒョンな1日」に出演し、俳優として本格的に始動した。事故当時、ドラマ「コクドゥの季節」にキャスティングされ、地上波デビューを控えていたが、撮影を終えることなくこの世を去り、共演者に悲しみが広がった。
イ・ジハンさんの所属事務所である935エンターテインメントは当時、悲報を伝えるとともに「イ・ジハンは皆に優しく、あたたかい人だった」「いつも明るく、笑顔で元気よくあいさつをしていた。明るく純粋だったイ・ジハンの姿が目に浮かび、もう見ることができないという事実が、とても信じられない」と悲痛な心境を伝えていた。
(よろず~ニュース・椎 美雪)