近ごろAI(人工知能)を使ったアプリや便利機能などをよく耳にするようになった。文書作成、画像や動画の制作などの場面では、毎日のように生成AIによって生み出された作品が世に出ている。
ビジネスシーンでもAIを使いこなす人が増えてきている一方で、自分の仕事にどのような影響が出てくるのか分からない人も多いはずだ。 しかし銀行の窓口業務や製造ラインのロボット、自動運転技術など、AIはいつのまにか我々の生活に深く入り込んできている。今後もその範囲は広がっていくことが予想され、もしかしたらあなたの仕事もAIに取って代わられるかもしれない。では一体どんな仕事がAIに奪われる可能性があるのだろうか。
内閣府が2024年(令和6年)7月に公表した「世界経済の潮流 2024年 I AIで変わる労働市場」には、AIが導入されることによる仕事の変化についてまとめられている。同資料には、AI導入によって人の介在が不要となる「代替型」の仕事と、AIによって労働の助けとなり生産性が向上させられ、新たな仕事が生まれる「補完型」の仕事が記されている。
「代替型」の仕事の具体例は、コールセンターオペレーターや経理事務員など、事務的タスクのシェアが大きく、AIによって自動化が進むと思われる職業だ。また税理士や司法書士といった士業も「代替型」にあたると考えられている。
一方「補完型」の仕事は歯科医師や教員など、意思決定には人間の判断が必要とされる職業が並んでいる。たしかに医師や裁判官の仕事であればAIを使って過去の事例を収集し、判断材料にすることで効率化が図れるというメリットがあるだろう。またスポーツ指導員や大工といった物理的タスクの多い仕事は、AIによる影響は小さいと考えられている。
ここまでの情報をまとめると、人間の判断が不要な事務的な仕事はAIに代替される可能性が高いと考えられる。また人間の判断が必要な仕事であってもAIにサポートをしてもらう場面が増えてくることが予想されるだろう。この影響は、物理的な仕事よりも事務的な仕事の割合が多い先進国ほど顕著に現れるようだ。もはやAIはよくわからないと言っている場合ではない。
とはいえ、AIの広がりにより新たな仕事が生み出されることもある。AIに代替されたからといって職を失うとは限らない。新たな技術を取り入れることで、別の仕事にステップアップすることもあるだろう。
自分の仕事が「AIに代替されるかもしれない」と心配するよりも、積極的にAI技術を学んで、どのように使いこなすかを考えるのが重要かもしれない。
(よろず〜ニュース特約ライター・夢書房)