たこ焼き、焼そば、お好み焼き…日本を代表する食文化のひとつ「粉モン」。その歴史や全国各地の特色などについて有識者を交えて語り合い、文化を未来へ継承するためのイベント「食文化100年継承・鉄板会議2024」が4日、大阪・YES THEATERで開催された。
2022年から毎年開催され、毎回テーマに選ばれた「粉モン」について議論。「お好み焼き」(22年)、「焼そば」(23年)ときて、今年のテーマは「たこ焼き」。イベント終盤では、未来へ継承すべき「粉モン」を認定する「文化を味わう!コナモン100選」に新たに選ばれた6品が発表された。認定された「粉モン」は以下の通り。
・ラヂオ焼 【大阪府】
・玉子焼/明石焼 【兵庫県明石市】
・ちょぼ焼 【大阪府大阪市】
・たこ焼(素焼き) 【大阪府】
・たこ焼(ソース) 【大阪府】
・たこ焼(醤油) 【愛知県】
日本コナモン協会の公式サイトによれば、1935年に大阪たこ焼きの元祖とされる「会津屋」初代の遠藤留吉さんが「ラヂオ焼き」の生地の中にタコを入れた「たこ焼」を開発した。その他に「ちょぼ焼」「玉子焼/明石焼」の影響も受けて、「たこ焼(素焼き)」は完成したとされる。また、戦後の1948年には濃厚ソースが生まれ「たこ焼(ソース)」という“王道”が確固たるものになっていく。
一方で、愛知県で根付いたのが「たこ焼(醤油)」。近年は「名古屋たこ焼き」と呼ばれるようになった。名古屋めしライターのSwind氏がイベントに登場し、「たこ焼(醤油)」について解説した。
Swind氏は「名古屋では『名古屋たこ焼き』が当たり前すぎて、それが名古屋特有のものだと認識していなかった」と説明。「名古屋たこ焼き」は2~3年前から浸透した名前だという。その特色を①醤油味の素焼き、②小玉(38ミリ直径の鉄鋳物鍋を使用)、③キャベツ入り、と3つ挙げた。
①については「(焼き上がったものに)醤油を塗るのでなく、焼いている途中に垂らして、素焼きで食べる」と説明。「名古屋にたこ焼きが入ってきたのは、おそらく戦前。大阪でたこ焼きが誕生してすぐに入ってきたと言われている」とし、①と②の特色は「その当時のままを残している」と昔の大阪たこ焼きに近い形で根付いているとした。
一方で、独自の進化を遂げたのは「キャベツ入り」だということ。これについて、Swind氏は「持ち帰り文化」が根底にあるとし「持って帰る間にしぼまないように、キャベツを入れて支えにしていた」と、その場で食べる文化が主流だった大阪との違いが進化を生んだと考察した。
日本コナモン協会会長の熊谷真菜氏は「38ミリ直径の鉄鋳物鍋を使うお店は大阪でどんどん減っている」と補足。また、名古屋たこ焼きは「千枚通しを使って右手で返しながら左手を添える」という作り方なのだが、これもかつては主流だったが、今はごくわずかに。「この文化が名古屋に残っていたことが嬉しくて」と食文化としての希少性を解説した。
「文化を味わう!コナモン100選」については、22年に「お好み焼き」関連の12品、23年に「焼そば」関連13品が既に選ばれており、今回の「たこ焼き」関連6品を合わせた計31品が現在認定されている状況。テーマの粉モンに合わせて、毎年少しずつ増やしていく予定だという。選定基準は以下の通り。
《選定基準》
①戦後、高度経済成長期ごろには存在していること
②地元のお店、家庭で愛食されていること
③発祥時の名称、または地元での呼び名で選出する
④有識者によって最終決定を行う
(よろず~ニュース・藤丸 紘生)