1994年11月22日、ゲーム業界に新たな時代の幕開けを告げる名機が登場した。それは、セガ・エンタープライゼス(現 セガ)から発売された家庭用ゲーム機「セガサターン」だ。当時、高校生だった筆者を含む多くのゲーマーを魅了したこの革新的なゲーム機は、今年で発売30周年を迎える。家庭でもアーケードゲームの迫力が楽しめ、長時間夢中になって遊んだものだ。多くのゲーマーも虜にしたセガサターンについて振り返ってみよう。
セガサターンの登場は、家庭用ゲーム機市場に大きな衝撃を与えた。発売からわずか1か月で出荷台数50万台を突破し、翌年2月には100万台を達成した。これはセガのハード史上最速の記録であり、その人気の高さが伝わるだろう。
セガサターンがこれだけ人気を集めた理由のひとつに、アーケードゲームの完璧な移植が可能になったという点がある。特にポリゴンによって立体化されたキャラクターで対戦する「バーチャファイター」シリーズは、それまで2次元対戦が当たり前だった世界に大きな一石を投じた。
「バーチャファイター」以外にも、「サクラ大戦」や「パンツァードラグーン」シリーズなどの名作が発売されており、これらのタイトルは今でも多くのファンに愛され続けている。なかでも「サクラ大戦」は、美少女キャラクターとの恋愛要素とシミュレーションRPGを融合させた斬新なスタイルで、50万本を超える売れ行きを示すヒット作となった。同作はゲームのみならず舞台やアニメにも展開され、新たなファン層の獲得にも役立った。
またゲームだけでなく、当時のマーケティング戦略も印象的だ。特に俳優の「藤岡弘、」さんが主演の「せがた三四郎」シリーズCMは、今でも記憶に残っている人も多いだろう。白い柔道着を来た藤岡さんがさまざまなキャラクターを演じながら「セガサターン、シロ!」と言う内容は、当時知らない人はいないほどの人気だった。
ただ「セガサターン」が発売された1994年には「プレイステーション」も発売されている。当初は「セガサターン」の方が勢いがあったものの、徐々に「プレイステーション」が台頭し、最終的に「セガサターン」はその役目を終えることとなってしまう。
市場での競争には敗れたものの、ゲーム業界に残した影響は計り知れない。多くの革新的なゲームデザインや表現技法は、後のゲーム開発に大きな影響を与えている。
今年30周年を迎え、当時を知る世代にとっては懐かしさと共にゲーム業界の激動の時代を思い起こさせるだろう。技術革新、創造性、そして熱狂、セガサターンはこれらすべてを体現した伝説的な家庭用ゲーム機であった。
当時、セガサターンに熱狂したであろう読者にとって、思い出に残るゲームは何だろうか。単なるゲーム機以上の存在として、私たちの青春の1ページを彩ったことは間違いない。
(よろず〜ニュース特約ライター・夢書房)