古来より日本料理の素材、薬味として利用されてきたミョウガ(茗荷)。今、SNS上ではそんなミョウガの実が大きな注目を集めている。
「恥ずかしながらミョウガの実を初めて見た。」とその姿を紹介したのは自然観察ガイドの星昇さん(@hoshitomita)。
料理に用いられているミョウガは開花前のつぼみの状態。そのまま育つと淡黄色の花を咲かせ、やがて独特の形状の赤い実を結ぶのだ。
SNSユーザー達から
「ミョウガ好きですが、食べてる部分が実なのかと思ってました💦💦作り物みたいな変わった形ですね✨」
「我が家で育てていましたがこんなのは見たことが無かったもっとこう繊細で食べれそうな…種類が違うのかあの先にこれが待っているのか…」
「食用の時期の地味で渋い色味に対してエイリアン?かと思う派手さ」など数々の驚きの声が寄せられる今回の投稿について星さんに話を聞いた。
ーーこのお写真を撮影された経緯は?
星:撮影場所は私の住んでいる福島県中部の山間地、天栄村湯本地区です。集落内で半分野生化したミョウガの株元に赤いものが見え、観察したところ実が割れて種子が見えたものだと分かりました。
ーーミョウガの実をご覧になったご感想を。
星:はじめは「何か気持ち悪いものが落ちてる…」と思って手に取ったらミョウガの実だと分かりました。食べる花序の部分や花はどちらかというと地味なので、このように見た目が変化することに驚きました。私は植物学が専門で地域で自然ガイドをやっているのですが、これまで見たことがなかったので「恥ずかしながら」というコメントとともに投稿しました。その後、ミョウガは滅多に実がつかない珍しい現象だと知りましたので、「恥ずかしながら」は余計だったなと思いましたが…。
ーー召し上がったのでしょうか?
星:手元の図鑑で調べても食べられるかどうかの記載がなかったのでネットで調べたところ「おいしくない」とあったので、観察しただけで食べずに終わりです。毒ではないようなので、まだ残っているようでしたらそのうち試食してみようかとは思います。
ーー投稿の反響へのご感想を。
星:自分と同じようにみなさん初めて見る方が多かったようで、その強烈な見た目にみなさん驚かれていましたね。中には「ミョウガ好きだったけど嫌いになりそう」というコメントもあり、申しわけない気持ちも。でもこれだけ反響があり、身近な植物への関心が高まったのはうれしかったです。知り合いの植物の専門家でも「初めて見た」という人がいました。
◇ ◇
ミョウガの授粉には繊細な温度維持が必要で、結実まで約50日かかることから、実が見られることは非常にレアのようだ。今後の実食レポートにも期待したい。
なお今回の話題を提供してくれた星さんが主宰している一般社団法人湯本森・里研究所(ゆもり研)では、福島県天栄村湯本地区でムササビ観察会や日本最大級のミズナラの巨木を訪ねるツアーなど、この地区ならではの自然観察ガイドツアーを開催している。ご興味ある方はぜひウェブサイトをご確認いただきたい。
(よろず~ニュース特約・中将タカノリ)