異例のロングセラーが「新版」でも快挙を達成した。1983年に刊行、1986年に文庫化され、今年2月に新版化した「新版 思考の整理学」(著・外山滋比古、ちくま文庫)が、東大生・京大生・東北大生・九州大生が2024年1月~同年6月の文庫で1番購読した文庫であったことが、各大学の生協調べで判明した。
これを受けて筑摩書房はこのほど、「東大・京大1位」「東北大学1位」「九州大学1位」の3種類の帯を作成。今月中旬出荷分よりそれぞれの帯が巻かれたものが全国各地の書店店頭に並んでいく。
「思考の整理学」の累計発行部数は290万4100部に。2009年の100万部突破、2016年の200万部突破に続き、300万部到達はもう目前。新版となり、より読みやすくなった「大学生定番の必読書」の勢いはこれからもまだまだ続いていきそうだ。
「思考の整理学」は300冊以上の著書を持つ外山滋比古さんの代表作。アイディアを軽やかに離陸させ、思考をのびのびと飛行させる方法を、広い視野とシャープな論理で明快に提示する学術書で、1983年に「ちくまセミナー」というシリーズの一冊として刊行。その後1986年に文庫化された。
2007年までの21年間で16万部のロングセラーとなっていが、2007年に岩手県盛岡市のさわや書店で、当時店員だった松本大介さんが記した「もっと若いときに読んでいれば…」という書店店頭のポップをきっかけに再び注目を集め、2008年の東大生協本郷書籍部・京大生協の書籍販売ランキングで1位を獲得したことから、“東大・京大で1番読まれた本”のフレーズが生まれて爆発的な売り上げを記録。その後も毎年新たな読者を増やし続け、時代を超えて読み継がれる不朽のベストセラーへと成長した。
◆外山滋比古(とやま・しげひこ)1923年生まれ。文学博士、評論家、エッセイスト。東京文理科大学英文科卒業。『英語青年』編集長を経て、東京教育大学、お茶の水女子大学などで教鞭を執る。専攻の英文学に始まり、テクスト、レトリック、エディターシップ、思考、日本語論の分野で、独創的な仕事を続けた。著書に『思考の整理学』『ことわざの論理』『「読み」の整理学』『知的生活習慣』『伝達の整理学』(筑摩書房)など多数。2020年7月没。
(よろず~ニュース編集部)