国土交通省より2025年4月に建築基準法の改正が発表され波紋を呼んでいる。
省エネ基準の義務化などさまざまな変更点があるが、話題になっているのは大規模リフォームが建築確認対象になる点。床や壁紙の張替えなど小規模なものに影響はないが、間取り変更や柱など構造部分以外を作り直す大規模リフォームが不可能になるのではと危惧されているのだ。
一級建築士であり、自身も築52年の空き家を0円で購入しフルリノベーションし暮らす築設計事務所Konstnar(コンストナー)代表、別所陽一さんに詳しく話を聞いた。
ーー具体的にどんな影響がでると思いますか?
別所:今まで住宅リフォームには、建築基準法などの法令に適合しているかどうかを確認する、建築確認を行う必要がありませんでした。しかし今回の改正でフルリノベーションなど一定規模を超えるリフォームに建築確認が適用され、現行の建築基準法に適合させなければならなくなります。
建築基準法は過去2000年や1981年に主に耐震基準の項目が改正され、その中では特に1981年以前に建てられた木造住宅は耐震性が低いとされています。それらの住宅を現行法に適合させるには、大規模な耐震改修工事を行う必要があり、費用も莫大。すると住宅会社やリフォーム会社は築年数の経った中古住宅や空き家のリノベーション工事を敬遠する可能性が出るのでは、と懸念しています。
ーー変更の狙いは?
別所:現状リフォームやリノベーションは定義が曖昧で、建築基準法でも明確にされていないのが現実。また、リフォーム工事は建築士の資格が不要で免許や許可も整備されていないため、一部で粗悪な工事や詐欺まがい悪徳リフォームも発生しています。おそらくそれらを改善する狙いがあるのではないでしょうか。また良質な中古住宅を流通させ、空き家問題の解消に繋げたい思惑もあると思います。
ーー今のうちに備えておいたほうがいいこと、注意点は?
別所:かえって空き家問題を加速させるのでは?といった懸念が出てきたのか、緩和要件が続々と発表されています。今現在、中古住宅や空き家の大規模リフォームを検討している方は、法改正前に工事を行うというのも選択肢のひとつ。しかし焦って物件選びを妥協したり、不十分な準備で家づくりをスタートするのは本末転倒。新築、中古、空き家に関わらず自分のペースで納得いく家づくりを進めてもらいたいです。
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SNSでは「劇的ビフォーアフターはもう無理?」「リフォームした家を売る時はどうなるの?」「空き家を活用して移住者を呼び込む工夫をする過疎地域は大打撃では。」など不安な声が寄せられた。築古の再建築不可物件などの空き家が増加し、ますます家を持つのが難しい時代になるのか。変更や緩和条件の詳細は国土交通省HPに掲載されているのでご興味ある方はぜひご覧いただきたい。
(よろず~ニュース特約・ゆきほ)