斎藤元彦前知事(47)の失職に伴う兵庫県知事選(17日投開票)に、無所属で出馬する斎藤氏が16日、神戸市内で最後の訴えを行った。
グランドフィナーレと銘打たれたマイク納め。神戸市の繁華街・センター街には多くの聴衆が集まった。「いや、本当にここまで人がすごいとは…ちょっと想像してなかった。本当に信じられない」。選挙戦初日、第一声に集まった1000人(陣営発表)をゆうに超える人だかりを前に、驚いた表情を見せた。
斎藤氏は約1カ月前、同じセンター街で1人で行った辻立ちを振り返り「その状況から比べると、本当に信じられない。最後は本当に、一人になってしまった。そこからの選挙戦でした。県庁を去る時も一人でした。何とかやり切りたい。戦い抜きたい。そういう思いで続けたんです」と支援者が増えていった選挙戦を振り返った。
好きな映画として「ロッキー」を挙げた斎藤氏は「最終ラウンド、15ラウンドまで戦い続けるということがロッキー1のテーマだった。僕はそれを観て、頑張ろうと思いました。ボコボコにやられた時もありました」と、シルベスター・スタローン演じる主人公ロッキー・バルボアの姿に自身の苦闘を重ねた。
県職員の内部告発文書問題に触れ「県民の皆さんにご心配やご迷惑をおかけしたこと、心から申し訳ないと思ってますけれども、それでもやっぱり、自分がやってきたことは決して間違っていない。だからこそ、自分の信念を貫いて、最後の最後までどんなに苦しくても、どんなにつらいことがあったとしても、最後まで走り抜けよう。これは斎藤元彦の強い決意だったんです」と、不退転の決意を示した。
聴衆の拍手に後押しされながらも「本当に大事なのは明日なんですよ。絶対に今回の戦いに負けるわけにはいかない。本当に勝たなければ意味がありません。負けてしまえば、すべてが無になってしまいます」と呼びかけた。
組織票や、政党の支援がないことに「組織票、団体票…おそらくこの週末、すごく引き締めをしています。本当にそれでいいのか。一部の権力者、関係者が今回は誰々でいこうと言っただけで、すべての組織に入れさせるような、そんな民主主義ではダメなんです」と、既得権益や既成政党に立ち向かう姿勢を強調した。
SNSでの〝空中戦〟で、注目度が増す兵庫県知事選。「私、X(旧ツイッター)を始めた時はあまり好きじゃなかったんです。ものすごく、コメントが誹謗中傷ばかりだったから…」と話し、聴衆を笑わせた。「やっぱりSNSの力はすごいなという風に思いました。悪い面もあるんだけど、良い面もあある。会ったこともない人が、斎藤知事頑張れ、負けないでと言ってくれる。SNSの良い面が本当に、よく見えました」と、ネットの力を肯定する。
斎藤氏は「失敗もした。いろんな経験もした。だからこそ、斎藤元彦はもう一度、県政を見直させていただきたい。今回得たことを糧に、もう一度、みんなで一緒にもっともっと良い兵庫県を創っていく力をぜひ与えていただきたい」と声を張り上げた。
〝サイトー〟コールも巻き起こったマイク納め。「70万円の学校のプールの修理費が出せなかった兵庫県政。一方で、1000億円を超える県庁舎を建て替えようとしていた。海外事務所も日本一多い。65歳以上のOBの天下りも漫然と続けようとしていた。70万円のプールの修理費が出せない兵庫県政に戻してはダメなんですよ!」と、旧態依然の県庁組織を指摘。自身の知事返り咲きを、強く訴えた。
県知事選には斎藤氏の他、前参院議員の清水貴之氏(50)、前尼崎市長の稲村和美氏(52)、大沢芳清氏(61)、福本繁幸氏(58)、政治団体・NHKから国民を守る党の立花孝志氏(57)、木島洋嗣氏(49)=いずれも無所属=が立候補している。
(よろず~ニュース・杉田 康人)