映画「くすぶりの狂騒曲」(公開中)で主演のタモンズ・大波康平を務めるなど、映画、テレビ、舞台と幅広く活躍している俳優の和田正人がこのほど、大阪市内でよろず~ニュースの取材に応じた。大学時代は箱根駅伝に出場し、実業団の陸上選手から転身して20年。45歳になり、仕事に対する思い、家族について語った。
2005年にオーディションに合格して俳優デビュー。着実にキャリアを重ねてきた。プライベートでは17年11月22日にタレントの吉木りさと結婚。5歳の長女と2歳の長男がいる。「やっぱり、飯を食わしていかなきゃいけないという、この仕事が自分のためのものだけじゃなくなってきている重圧みたいのがあるので…。仕事の意味合いが変わってきたところもあると思うんです」。心境に変化が生まれた。
独身時代と比べて「面白くなくなった」と感じたこともあったという。「家族ができて、外に飲みに行く時間も減りましたし、人と会うことが途端に減っちゃうわけです。そうなってくると、芸として人として磨かれていく時間があまりないというか…。守りに入っている自分が当然いるわけで。これが結婚ってやつなのか、家庭を持つことなのかと思って、もやもやした時期はありました」。俳優として、このままでいいのか悩んだ。
妻に打ち明けると、「好きにしたら」と言われた。気持ちが楽になり、外で人と会うように心がけた。「食事の場とか、いろんな人たちの場所に顔を出して、どんどん俳優としてというか、魂を燃やしていく作業を頑張り始めたみたいのはありましたね」。妻の理解もあって、自分磨きが再びスタートした。
SNSでは家族と過ごす姿や趣味のことなど、プライベートの部分も発信している。「ネタを提供している感覚なんです。取材を受けるときやバラエティー番組で出たときに、話をしやすいじゃないですか。あとは陸上の解説のようなお仕事をさせてもらったりもしているので、陸上の元選手としての目線を持っているみたいなところを発信するとか。ほぼビジネスSNSです」。意図を説明した。
長女が自転車の練習をする模様は大バズリした。「いいパパをやりすぎると、何かあったときにちょっと…。あんまり出したくはないんですけど」とジョークを交えながら、「妻が笑っていたら、それで家族は平和じゃないですか。そこを失わないように、うまくやっていくのは努めかなぐらいには思っていますけど」と、家族に対する優しさや愛妻家の一面をのぞかせた。
自宅の自室で台本を覚えることはあるが、基本的に仕事は家庭に持ち込まない。ただ、家族に指摘されることもある。「役の空気感、まとっているものは、なくなると良くないと思っているので、(役の間は)結構、空気感をまとっていると思います。だから、家に帰ったりすると『パパの様子が変』みたいなことは、ちょこちょこ言われます」。役の雰囲気だからと説明することも。「何も変えているつもりはないですけど、妻とかはちょっと違うみたいです」。家族の目にはしっかりと見えているようだ。
役作りはしない。「基本的に何者かになろうとか、憑依(ひょうい)とかは全然なくて。もし、この役を僕がやったらという風に、自分の観点で捉えるようにしているので」。何者かになるのは不可能だと思っている。どう演じるかと考えた方が、理解しやすい部分があり、感情が出てきやすくなるという。理解できない部分は調べて、想像して埋めていく。
演じたい役として豊臣秀吉を挙げた。SF時代劇「秀吉のスマホ」で秀吉役を務めたが、大河ドラマや映画の本格的な時代劇で演じてみたい思いがある。「たいこ持ち気質があるみたいで…。若い頃、演出家の人に『秀吉を演じるといいかも』と言われたときに、なるほどなと」。野心を表に出さず、長いものに巻かれながら、お調子者っぽく振る舞う秀吉像…。「その気持ちが分かると思って。まだそれにしては若いので、50代後半、60前後ぐらいのタイミングになると、いい味を出せる秀吉を演じられるんじゃないかなあと」。イメージを膨らませていた。
◆和田正人(わだ・まさと)1979年8月25日生まれ、45歳。高知県出身。2005年に舞台「ミュージカル・テニスの王子様」で本格的に俳優デビュー。NHK朝ドラ「虎に翼」に出演するなどドラマ、映画、舞台と幅広く活躍。高校卒業後に進学した日本大学では陸上競技部に所属し、箱根駅伝に出場した。17年11月22日にタレントの吉木りさと結婚し、1男1女の父。
(よろず~ニュース・中江 寿)