大阪府岸和田市議会は20日の本会議で、性的関係をめぐって府内の女性から提訴され、11月に解決金500万円を支払い和解した永野耕平市長(46)の不信任決議案を賛成多数で可決した。
本会議は定数24人全員が出席し、20人が賛成。不信任決議案の可決に必要な出席議員の4分の3以上を超えた。反対は4票だった。
永野氏は、不信任決議案可決を受けた会見で「びっくりしてます。僕の認識とはかなりズレがある。僕の生活上の失態で自分に非があるが、不信任決議にまで至る非ではない。妻以外の女性と交際してたわけですから。その失態に関しては反省して、家族で話し合えばいい話。不信任決議になるような話ではない」と猛反発。10日以内に議会を解散しなければ自動失職するが「いろんな選択肢の中で、一番適切なのは何かというのを検討したい。岸和田市政が前に進むというのが一番大事。そのために検討していきたい」とした。
一方で「自動失職するかもしくは議会を解散させる。もう一つは議会を解散させて、自分も辞職して、同日選挙(市長選、市議選の)W選挙をするという考え方がある」と述べ、さらに「議会の選挙のタイミングに合わせて自分も辞職してW選挙にすると、市長を誰にするか、市議会議員を誰にするかということを同時に市民に問いかけて、同時に選んでもらうことができる。そういうメリットもある」との考えも示した。
不信任決議は「各議員より訴訟内容等について説明を求めるも『秘匿』を繰り返し、説明責任を果たすことは無かった」「しかし、所属政党の綱紀委員会では一転して、不倫関係にあったことを認めた。市民の代表である議会に対し、説明を怠りながら、所属政党には説明するという、市長という公人にあるまじき行為」「まさに岸和田市は、大混乱の異常事態であると言わざるを得ない。その混乱を招いた市長の責任は重大である」とした。
一方、反対した高平正明市議(57)は「永野氏を岸和田市役所から追放すべきだと考えています」としながらも「現時点では、永野氏に勝てる市長候補者が見当たらない。その用意ができた時こそ、不信任決議を全員で決議するべきだ。永野氏は議会を解散し自らも辞職をして、W選挙を2月2日に行うと宣言している。永野氏再当選の可能性が低くない。ゾンビ復活した永野氏はみそぎは済んだとして、無罪放免になってしまう。不信任決議が通れば、兵庫県知事選同様、過激な題名でデマを流布する者も出現する。市民の分断を生む」と指摘した。
永野氏は6日に開いた会見で、女性との不倫関係を認めて謝罪したが、性加害については「なかった」と否定した。
所属する地域政党・大阪維新の会から除名されれば、市長を辞職する考えを示していた。同党は9日、綱紀委員会を開き「除名に至るだけの理由がない」として、最終的に離党勧告処分にした。離党した永野氏は「維新の会だから私を応援してくださった方もおられると思いますが、選挙の時に掲げてきた公約、約束をしっかりと果たす中で、有権者の皆さんにご判断いただきたい」と、続投の意思を示していた。
9日の市議会で女性問題について説明した永野氏だったが、市議会は全会一致で議会への出席見合わせを申し入れ〝出禁〟状態。この日も市長不在で、不信任決議案は採決された。
永野氏は「議会側は僕に出席するなと言った。市長も市議会も、市民に選ばれている。どちらも市民に選ばれた存在が本会議で議論するからこそ、市の未来というのが民意を得た形で決まっていく。果たして市民の気持ちに沿った議会が進められるかどうか疑問。相当おかしい」と批判。女性問題で不信任案が可決される異例の事態となった。
(よろず~ニュース・杉田 康人)