兵庫県の斎藤元彦知事(47)のパワハラ疑惑などを告発した文書問題を究明する県議会の調査特別委員会(百条委員会)が25日、開かれ、斎藤氏と片山安孝元副知事(64)が証人として出頭した。
斎藤氏は文書問題で失職する直前の9月6日以来3回目の証人尋問で、県知事選再選後は初。パワハラ、おねだり疑惑や、2023年11月に行われた阪神、オリックス優勝パレードの寄付金集めを巡る経費不正疑惑、政治資金パーティーでの疑惑など7項目について、総括的に尋問が実施された。
3月に告発文書を出した元県幹部の男性=7月に死亡=が公用パソコンに残していたデータを巡り、片山氏が10月の証人尋問で「(公益通報の)不正目的だった」などと証言したことを受け、データの一部の提出を求めていた。
この日が最終尋問。斎藤氏は、百条委員会終了後、記者団の取材に応じ「1回、2回…(県知事に)再任させてもらって、これで3回目。各課題、テーマについて自分の考え、主張をしっかり述べさせていただいた。県民の理解に応えられるように努力してきたというつもり」と述べた。
斎藤氏は「常に公益通報の是正の提案の中の対応をさせていただいている面がありますので、そこはしっかりベースにしつつ、議会の調査、特別委員会の結果、第三者委員会の結果などが年度内に出るのであれば、県としての対応をしっかり検討していきたい」とした。
この日の証人尋問で、斎藤氏は告発文書への対応について「文書に対する対応は、全体として問題なかった。初動の対応を含めて、適切に対応してきたと考えている」と、従来の主張を繰り返した。
文書を出した元県幹部が、あらためて(4月に)公益通報した後、懲戒処分にしたことについて「真実相当性がない誹謗中傷性の高い文書を、職務中に作成したということが懲戒処分に相当すると考えた。公益通報の保護要件には当たらない。(3月の文書は)真実相当性のない、誹謗中傷性の高い文書というところで、そこに供述も証拠も添付されていなかった。公益通報をしたということで、懲戒処分にしたのではない」などと、正当性を改めて訴えた。
告発文書が公益通報ではなく、不正目的だと判断した理由について、斎藤氏は「片山副知事から3月25日に『クーデターという言葉が出てきています』という報告を受けたのが、不穏当な動きを最初に認識したということだった。誹謗中傷性の高い作成物に加えて、クーデターという言葉が出てくるという状況は、看過できない状況だと認識だということが、3月25日時点の私の認識」だと説明した。
パワハラ疑惑については「厳しく注意や、指導を業務上必要な範囲でさせていただくということはありました。あくまでいい県政をしていきたいという思い。ただ、社会通念上の範囲の度を超えて、暴行罪や傷害罪などに該当するようなことはしていない」と否定。ハラスメントや公益通報の認定については「百条委員会や第三者委員会でも調査されていくと思うが、司法の場での判断になる。法的に一番良いのは司法の判断。司法の場の判断が大事」とした。
百条委は、調査結果をまとめた報告書を2月の定例県議会に間に合わせるよう公表する予定だ。
(よろず~ニュース・杉田 康人)