冷え込む日が増えてきました。寒さとともに脳卒中、心筋梗塞などの循環器疾患が急増しており、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの基礎疾患をお持ちの患者さんは気をつけて生活をしなければなりません。
短時間での寒暖差は非常に危険です。過度の血圧の変動、血管の収縮伸展が体内循環のバランスを崩すことにより、血管に過度の負荷がかかり、不幸の転機を来すことがあります。外出時には、防寒対策をしっかりと行い、屋内においても特にトイレ、お風呂場、脱衣所などの温度差が少なくなるように工夫をすることが大切です。
寒さとともにやってくるのが、湿度の低下です。そして、それとともに猛威を振るうのが、ウィルス感染です。新型コロナウィルスや新興感染症などの例外はありますが、一般的にウィルス感染が大流行するのは、寒くて、乾燥する冬の季節です。
最近は気密性の高い住宅やマンションが増えて、屋内で極端に湿度が低下することは少なくなったかもしれませんが、湿度は50%~60%が適切だとされています。70%以上になりますと、カビなどが繁殖しやすい状況になりますので注意が必要です。
また、鼻閉などにより開口して睡眠をとる人は、口腔内が極度に乾燥し、ウィルス、細菌に感染したり、粘膜損傷による痛み、出血を来すことがあります。不織布マスクもいいのですがガーゼ、小さなタオルなどをマスクの中に入れることにより、呼気の中に含まれる水分が再吸収され、口腔内、鼻腔内の乾燥を防ぎ、ウィルス、細菌感染の防御にも役立ちます。
起床時には外れていることが多いのですが、就寝時の上記のようにマスクをつけて睡眠することにより、起床後の口腔内の乾燥を劇的に改善することも可能です。
さらに寒さは、内臓の動きにも負担をもたらせます。消化管の動きが悪くなり、便秘が増悪します。また、汗をかきにくいので水分摂取が少なくなることも要因の一つです。起床後に白湯などをのみ、水分摂取と内臓を温めることもお勧めです。
◆谷光利昭 兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。外科医時代を経て、06年に同医院開院。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。