人気リゾート地として知られるタイのプーケットが今、深刻な「ごみ問題」に直面している。白い砂浜と活気ある夜の街は海外からも魅力的。コロナのパンデミック後、観光客が急増したが、それに伴って膨大な量のごみも発生した。
毎日約1100トンの廃棄物が島中から集められ、1カ所の埋立地に送られている。しかし、焼却されるのは、わずか700トン。残りのごみは、積み上がり続けるという悪夢の連鎖になっている。
異臭は日ごとに強まり、数百人の近隣住民が悩まされている。ヴァッサナ・トユウさん
によると、屋外では生活できず、家の中にいるしかないという。
「家の中にいても、マスクをしなければならないときもある。あまりにひどいときはマスクをして、エアコンと空気清浄機をつけている。常時つけっぱなしにするため、電気代も高い。最高で月180ドルかかる」。さらに、ユウさんは子どもが外に出て新鮮な空気を吸えないとし、生後3カ月の子どもは一度も家の外に出たことがないと嘆いた。
プーケットは、2026年までに「持続可能な観光地」になる目標を掲げている。地元当局は、ごみ問題の解決策を探るべく奔走。同市のラオンペット副市長は「プーケットは、本来よりもはるかに急速に成長している。ごみ問題は危機的状況になりかねず、対応を急いでいる。最悪の場合、第2焼却炉が建設されるまでの2-3年間で1日に1400ー1500トンのごみを収容できる場所を用意しなくてはならない」と話した。
当局は民間と協力しながら、廃棄物の削減に取り組んでいる。ごみを燃料に変える計画もあるという。あるNGOは、有機廃棄物を1日あたり約500キロ減らす取り組みを開始した。
ただ専門家からは、さらなる取り組みが必要という声も。固形廃棄物に詳しいブラパー大学のパナテ・マノマイビブール助教授は「廃棄物の削減や分別にも注力する必要がある。焼却炉を増やすだけでは、結局は埋め立てなくてはならず、根本的な解決にならない」と説明した。
(ロイター/よろず~ニュース編集部)