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【グローバルニッチトップ】ニコンの源流『東京計器』が創業125周年

財界オンライン 2021年11月2日 11時30分

次の成長が期待できる事業の芽を伸ばしてく

「おかげさまで創業125周年という節目の年を迎えることができた。これは創業から一貫して新しいものの開発に挑戦し、社会の期待に応えるという姿勢があったから。時にあまりにも過度に技術に向き合いすぎる部分もあるけれど、日々の積み重ねが大事。原点を大切にしながら、次の節目である150周年に向けて新しい方向性を打ち出していきたい」

 こう語るのは、2021年5月に創業125周年を迎えた東京計器社長の安藤毅氏。
船舶用ジャイロコンパスなどの航海計器で、世界の商船向けは6割以上のシェアを誇る東京計器。われわれの普段の生活では目にすることは少ないものの、鉄道や航空、防災、農業など、様々な分野で同社の製品が使われている。

 例えば、国内テレビ局の報道ヘリに搭載されるアンテナ自動指向装置は9割以上、気象庁向けの地震計用加速度計は約8割、鉄道各社向けの超音波レール探傷車は7割以上、国内上下水道や農業用水向けの超音波流量計は6割以上、国内プラスチック射出成形機用の油圧機器は約4割など、特定の市場で圧倒的なシェアを誇る”ニッチトップ企業”として知る人ぞ知る存在だ。

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 東京計器の創業は明治29年(1896年)。日本初の計器工場として、船舶に不可欠な圧力計の開発に着手したのが始まり。英国製軍艦に搭載された機材を国産化できないかという国の要請を受けて、圧力計の国産化に取り組んだのが原点だ。

 大正6年(1917年)には光学計器部門を分離。それが現在のニコンで、同社は機械的計器や電気的計器の事業に特化。そこから船舶用ジャイロコンパスなどの海に関わる製品から、水量や水位を測る計器など陸に関わる製品、航空自衛隊の戦闘機に搭載するレーダー警戒装置など空に関わる製品まで、事業を拡大してきた。

 同社は中期経営計画『東京計器ビジョン2030』を策定。2030年に売上高1千億円以上、営業利益100億円以上、営業利益率10%以上を目指す。

 特に注力分野として狙いを定めるのが、水素・エネルギー分野とAI(人工知能)。
すでに油圧機器の技術を活用して、油圧式水素圧縮装置システムを開発。また、長年培ったマイクロ波技術を活かして、半導体製造装置や人工衛星などの心臓部を担うマイクロ波増幅器などの量産を急いでいる。

「『計測・認識・制御』といった人問の感覚の働きを最先端の技術でカタチにするというのが当社の使命。もともと当社には、ニッチな市場でトップシェアを占める製品が多い。こうしたコアの技術を組み合わせて、これからの成長を牽引するイノベーティブな事業を生み出していきたい」(安藤氏)

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