Infoseek 楽天

ミキハウスグループ代表・木村 皓一の「世界の子供に笑顔と安心を!」(第24回)

財界オンライン 2021年11月9日 7時0分

アジア戦略を支えるダイバーシティ

「今後のアジア戦略を考える時に、日本人スタッフを現地に派遣することも考えましたが、現地の富裕層の生活やニーズを理解し、広げていくことは正直、日本人には難しい。そこで外国籍の社員を採用させてもらうことにしました。ミキハウスのことを理解した上で、自国と日本との懸け橋になってもらおうと考えたのです」

 木村がこう話すように、ミキハウスには中国、韓国、台湾、そしてタイやベトナムなどのASEAN(東南アジア諸国連合)出身者、さらにはパキスタン、欧米各国の出身者も在籍。

 こうしたダイバーシティ経営が若い世代にも好感をもって受け入れられている。

「ミキハウスには年間2万人ぐらいの学生さんから就職の申し込みがありますが、外国籍の方は本当に優秀ですよ(笑)。日本語も流暢だし、日本の歴史や文化もよう知っています。何より、自分の成長や報酬に対しても貪欲です。今では新卒採用の学生さんの半数は外国籍の方ですね。ダイバーシティ経営とか言われていますが、八尾の会社も結構頑張っていますわ(笑)」

 木村は、「うちの会社は、アジアの経済発展と共に歩むという考えですから」と基本的な考えを話し、「外国人スタッフを採用して鍛えて、日本の文化もある程度吸収して帰ってもらって、ミキハウスをより広げてもらおうと思っています」と語る。

ミキハウスグループ代表・木村 皓一の「世界の子供に笑顔と安心を!」(第23回)



ミキハウスが今、中国で人気がある理由

 具体的に成果はどうか?

「今、上海に帰っている社員は、日本の百貨店で勤務して、販売をずっとやっていて、上海で直営店をオープンしたんです。その人を店長にして、日本のサービスでやっています。もう中国で大受けですよ」

 外国籍の社員が母国へ帰って、直営店の経営に携わると、すぐさまミキハウスのファン(客)が増える。その人気が口コミやSNS(交流サイト)で広がるという流れを生む。

「だから、出店依頼も中国からはいっぱい来ています」

 海外の店舗数は現在87店(2021年9月現在)。このうち、中国での店舗数は約50。海外の店舗数は2021年度中に100店舗になる見込み。

 このコロナ危機の中でも、高級子供服・ベビー服へのニーズは高いということである。

「向こうのオーナーと、うちの担当者がコロナ危機の今、リモートでやっていますけど、ブランド戦略はもちろんのこと、売れる、売れないだけではなくて、やっぱり親切丁寧に売っていただくということですね。オープンするお店が高級ゾーンであるということで、いろいろ取り決めして、物事を進めていますのでね」

 やはり、事業の展開の根本は、内外を問わず、親切丁寧なサービスであるということである。

 ただ、そのサービス展開も、単に日本のやり方をそのまま海外で実行すればいいというものではない。

「商品検討会議をリモートでやっているんですよ。うちの企画デザインチームと営業チーム、百貨店チームとやり合うんですけどね。上海の担当者はリモートで、中国の顧客はこういうことを求めていますよと。日本の文化になじんだ商品をつくっているけど、中国では紐をスナップに変えてほしいとか、素材はこれがいいとか、いろいろ言ってきますよ。でも、商品開発をする上ではすごく良いヒントになっています」 (敬称略、以下次号)

ミキハウスグループ代表・木村 皓一の「世界の子供に笑顔と安心を!」(第22回)

この記事の関連ニュース